ひと口きこしめせば永遠に ページ10
『でも、確か不死の薬って、帝の手によって燃やされたんでしょ。この世には存在しないはずですよね』
「ええ。しかし、かぐや姫が天に昇るときに、翁たちに「わたくしは必ず帰ってきますから、不死の薬を飲んで待っていて下さい」と言ったとしたら？」
『……』
私は考える。
先ほどから、姿が見当たらない母親の存在。
不死の薬を飲めば、身体の一部だけでも生きられる。
そして、この女の人がとても大切そうに持っている風呂敷包み───。
点と点が線でつながりそうになったが、それ以上考えると恐怖で身がもたなくなりそうなので、思考をやめる。ありえない、現代にかぐや姫なんて存在しない。
「少々、話しすぎました。そろそろおいとましますね」
『あの──あなたは、何者なんですか？』
「そうですね。かぐや姫と言っても信じないでしょうし───華代とでも名のらせていただきましょう」
女の人がつけている銀のかんざしが、月の光をうけてキラリと光った。
『……私は、田中、Aです』
「そうですか。では、Aさん、さようなら」
その言葉を残して、女の人はベランダから一瞬にして消えた。
私の意識もブラックアウトする……。
「────ちゃん、Aちゃん！」
気がついたら、私の目の前には教授がいた。
教授の腕のなかにはすやすや眠っている創人くん。
え……？
ぼんやりした頭で考える。
私、何してたんだっけ……？
っていうかなんで私、ベランダに？
思いだそうとすると頭がズキズキする。
「ダメじゃないか、こんなところで寝ていたら。風邪ひいたらどうするんだい」
『ああ……ごめん、すぐ寝るよ』
目をこすり、むくりと起きあがる。
『ところで教授、“不死の薬”って何？』
ふと、そんな単語が思いうかんできたのだ。ねぼけているからか、反射的に教授に質問してしまう。
教授ならきっと、首をかしげて「なにそれおいしいの？」と答えるだろう。
でも、違った。教授は一拍間を置いて、
「人を不幸にする厄介な薬だよ」
と静かに言った。
……。
あまり、よく分からない。
私がなんでそんな質問をしたのかも、教授がなんでそんな抽象的な説明をしたのかも。
ワギャーと泣く創人くんを「はいはいはい！」とたしなめる教授。
そうだった、私たちは交代で創人くんの夜泣きの世話をしてて、次は教授の番だった。
……まあ、寝ぼけて出てきた単語に真剣に悩む必要もないか。
私は大きくのびをして、ソファーへとむかった。
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鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！なかなかの長編になりそうです(汗)更新頑張ります！ (2017年4月29日 11時) (
レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - クイーンが登場！！(≧∀≦)でもまさかの展開ですね！？��(ﾟДﾟ)続きが気になります…！ (2017年4月27日 23時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» 喜んでいただけて何よりです(*^_^*) (2017年3月15日 7時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - わぁあ！！神宮寺さん！！(≧∀≦)素敵です！！ (2017年3月14日 11時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！頑張って更新しますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2017年3月12日 17時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥羽 | 作成日時：2017年2月11日 21時
