お手伝い、怪我の始末 ページ28
『二人より三人のほうが料理もはかどりますよ。だから、ジュリアスくんも一緒に手伝いましょう』
そう言うと、チッと柳川さんが舌うちをする。それから、
「おい、邪魔すんなよ」
とジュリアスくんの耳もとでささやく。ジュリアスくんは青い顔でガクガクうなずいた。
この二人、結構仲が良さそうに見えたんだけどな。
私は大根を切っていく。ジュリアスくんは野菜を洗ったりとほとんどが雑用だ。まあ、得意料理がカップラーメンに卵を入れる人だから仕方ないだろう。
「それが終わったらハンバーグの火加減を見てくれ。盛りつけはおれがやるから」
冷蔵庫から下ごしらえがすんだフォアグラを取りだす柳川さんは、一緒に冷えている駄菓子に一瞬眉根を寄せた。鷲尾さんの仕業だろう。
風のようにすばやく動く柳川さんのおかげで、私たちはほとんどやることがない。
「痛っ！」
ふとキュウリを切っていたジュリアスくんが悲鳴をあげた。見ると指を切っていて、血がでている。
『はい、これ』
私はポケットからばんそうこうを取り出す。これは、ペロペロキャンディーを持った白衣の高校生の女の子に、ティッシュ配りをするノリでもらったものだ。
ジュリアスくんの小さい指を水で軽く洗う。傷口にしみたのかジュリアスくんは少し顔をしかめた。タオルで水気を拭きとり、ばんそうこうを巻きつける。
『はい、がまん、がまん』
「子どもあつかいはやめてください」
ますます顔をしかめるジュリアスくんにごめんごめんとあやまりながら包丁を洗う。柳川さんが「大丈夫か？」と聞いてきたので、少し切っただけですと伝えておいた。
『こんなの邪魔のうちにもはいりませんから。ジュリアスくんだって頑張っていましたよ』
「ああ、そうだな」
「ありがとうな」と柳川さんはジュリアスくんの頭をポンポンとなでる。少し迷惑そうに、でもうれしそうにしているジュリアスくん。
「それから、Aも」
『へ？私ですか？』
「その……無理なお願いを言ってすまなかった」
少し気まずそうにほおをかく柳川さん。
『いえ、楽しかったです』
笑顔で言うと「そうか」とだけ言ってくるりと背中を向ける柳川さん。耳が赤かったから多分照れているんだろう。
「Aさん」
名前を呼ばれて振りかえると、ジュリアスくんがいた。私はエプロンの紐をほどきながら聞く。
『なに？』
「あの……ありがとうございます」
頭をさげられ、少し戸惑う。でも、悪い気持ちはしなかった。
『どういたしまして』
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鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！なかなかの長編になりそうです(汗)更新頑張ります！ (2017年4月29日 11時) (
レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - クイーンが登場！！(≧∀≦)でもまさかの展開ですね！？��(ﾟДﾟ)続きが気になります…！ (2017年4月27日 23時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» 喜んでいただけて何よりです(*^_^*) (2017年3月15日 7時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - わぁあ！！神宮寺さん！！(≧∀≦)素敵です！！ (2017年3月14日 11時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！頑張って更新しますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2017年3月12日 17時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥羽 | 作成日時：2017年2月11日 21時
