神宮寺side 酔い覚ましがよく効いた ページ2
神宮寺side
「じゃあ、姫は？」
「編集部から電話がかかってきた。今原稿と格闘してる」
耳をすませば、「いっそ、ひと思いに殺してぇー！」とか、「なんで、終わんないのぉー！」と、大怪獣が暴れまわる音が姫の部屋から聞こえてくる。
「……そうか」
おれたちは、目を伏せる。
まるで、かかわり合いになりたくないかのように。
「酔ってるんだろ」
ウイロウが、テーブルの上にのった空き瓶を見て、ため息をつく。
おれは、首をかしげる。何杯呑んだか、思い出せないのだ。
───じゃあ、呑んでないも同然だな、うん。
おれはそう結論づけて、ウイロウに言った。
「酔ってねえよ」
「酔ってるやつはみんなそう言うんだ。二日酔い予防に、なにか胃に優しいものつくってやる」
「……サンキュー」
口で言いながらも、おどろきをかくせない。
ウイロウの料理は、超一流だ。冗談で“キッチン・クリイエイタ”を開こうと思う程度には。
でも───。
こんなふうに、自主的に気づかわれたことはない。特に、今夜のように姫と騒いだ後は。せいぜいドブに落ちた子犬を見るような目で見てくるだけだ。
それに、おれが目覚めたときから、ウイロウの様子がおかしい。
なんていうか、まわりにちっちゃく花が舞っているような。傭兵帰りの殺気まみれの上機嫌とは違う。
なんかいいことでも、あったのか？
カタン。
不思議に思っていると、ウイロウがテーブルにオレンジジュースとキャベツにトマトジュレをかけたサラダを置く。
ウイロウの料理だから味の保証はできるだろう。
でも……。おれは不満げに片手をあげる。
「なんでオレンジジュースなんだ？おれは、子どもじゃねえぞ」
「オレンジジュースは、酔い覚ましにいいんだ」
なるほど。抗議の手をおろし、おれはオレンジジュースを一気飲みする。酔いが覚めたのか、頭がスッキリした。と同時に、先ほどから抱いていた違和感がより鮮明になる。
「ところでウイロウ、なんでゴミなんか持ってるんだ？捨てといてやるよ」
「……いい」
ウイロウが大切そうに持っている潰れたペットボトルを取ろうとすると、ものすごい目でにらまれた。まるで宝物を取り上げられそうになった子どものようだ。
おかしい……。今日のウイロウは、おかしい。
───外に出てる間に、何かあったのか？
おれは、脳内で「神宮寺探偵事務所」の看板を立ち上げ、安楽椅子に座る。
……悪くないな。
ニヒルにほほえむと、ウイロウが怪訝そうな目で見てきた。
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鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！なかなかの長編になりそうです(汗)更新頑張ります！ (2017年4月29日 11時) (
レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - クイーンが登場！！(≧∀≦)でもまさかの展開ですね！？��(ﾟДﾟ)続きが気になります…！ (2017年4月27日 23時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» 喜んでいただけて何よりです(*^_^*) (2017年3月15日 7時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - わぁあ！！神宮寺さん！！(≧∀≦)素敵です！！ (2017年3月14日 11時) (レス) id: fc45d488d7 (このIDを非表示/違反報告)
鳥羽(プロフ) - レイさん» ありがとうございます！頑張って更新しますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2017年3月12日 17時) (レス) id: 4acd08ad41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥羽 | 作成日時：2017年2月11日 21時
