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「ちょっと待ちなさいよ！！！！」
甲高い声が俺らの耳を貫く。
振り向けば彼女の母親がすごい形相で俺らを睨みつけていた。
彼女の足が怯む。
一番厄介なのはこの母親なのかもしれない。
自分の支配下に娘を鎖で縛り付け続けようとする独裁者のような母親が。
「A、戻ってきなさい。貴方は良い子なんだから、戻ってこれるでしょう？」
笑った。
でも目の奥が笑っていない。
あの人の目には何が映っているのだろう。
彼女の手をそっと握った。
大丈夫、もう彼女は弱くない。
もう君はどこへだって飛んでいける。
「もうお人形さんになるのはやめたんです。今まで育ててくださってありがとうございました。」
頭をさげる彼女にますます表情がこわばっていく。
母親が彼女を見る。
その目には殺気がこもっていた。
思わず戦闘態勢を整えた。
近づいてこようとする母親に合わせて俺も腰を下ろした。
だけどそれを阻止したのは、
「止まりなさい。」
最初から今まで一言も発していなかった彼女の父親だった。
「なっ！？」
「...娘の気持ちを尊重できないやつを親だとは言えないだろう。」
「でもっ！」
「A、お行きなさい。後悔しない道を進みなさい。」
「お父さん、」
「早く、警備の人が動き出す前に。怪盗さん、幸せにしてやってくれ。」
「...はい、必ず。」
こくんと満足そうに頷いた。
その表情は嬉しそうな寂しそうな。
でもやっぱり嬉しそうで。
娘の成長を感じている父親の表情ってこんなに素敵なものなのかと思った。
俺もいつか、あんな父親になりたい。
彼女の父親に敬意を込めて深々と頭を下げた。
今まで大事に育てていただいてありがとうございます。
これからは貴方に代わって俺が精一杯彼女の笑顔を守り抜きます。
「行くで、」
彼女の手を取り式場を抜け出した。
もう誰も何も言ってこなかった。
彼女の母親の泣き声だけが響き渡っていた。
あの人もきっと彼女のことを本気で愛してた。
ただ、愛し方を間違えたんだ。
縛り付ける愛し方しか知らなかったんだ。
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虹色ジャス民ちゃん(プロフ) - すっごく面白くて毎回新しい話が出る度にワクワクしながら読んでました！！完結して嬉しいような悲しいような気がしますが、とにかくおめでとうございます！ (2017年7月15日 14時) (
レス) id: c98121e410 (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - こめちさん» ありがとうございます(;_;)キュンキュンしていただけて本当によかったです、ギャグ多すぎたかな…と密かに心配してました(笑)最後までお付き合い頂きありがとうございました！ (2017年7月10日 0時) (レス) id: 35aa90feef (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - natsuさん» 嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます(;_;)照史くんとのシーンはなるべく楽しいものに、だけれど重要なシーンにと大事に書いてきたので触れていただけて嬉しい限りです。窓を開けてたらいつかひょっこり、なんて(笑)最後までお付き合いありがとうございました！ (2017年7月10日 0時) (レス) id: 35aa90feef (このIDを非表示/違反報告)
こめち(プロフ) - 完結おめでとうございます！すっごくキュンキュンした作品でした！ (2017年7月9日 22時) (レス) id: 278a7959ef (このIDを非表示/違反報告)
natsu(プロフ) - 初コメ失礼します。毎回楽しく読ませていただいておりました。１つ１つの言葉にハマちゃんの強さと可愛さと煌めきが込められていて、照史くんとのシーンでは情景が浮かぶようでした。私のもとにもハマーが来ないかな…なんて思ったり。完結おめでとうございます。 (2017年7月8日 23時) (レス) id: 49cb799bc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プシュケ
| 作成日時：2017年1月28日 20時
