1 Heliotrope ページ47
ジェシーside
?「こーち。ずっと好きだった。」
ソイツはこーちの腕を引いて抱き寄せた。
俺の胸は鉛を飲み込んだみたいに重く苦しくなって
息が出来ない。身体は凍りついて指先ひとつ動かなかった。
苦しい。息が出来ない。
カハッて、ようやく息を吸い込んだ時、今見ていたものが夢だった事に気がつく。
暗闇で眼を開けて、慌てて隣を見るとすーすーと寝息を立てて寝ている愛しい人。
夢見の悪さに起こされて、俺はじっとりと汗をかいていた。
こーちを起こさないようにそっとベッドを抜け出し
シャワー室に入る。
ぬるめのシャワーで汗を流し、バスタオルを腰に巻いてリビングのソファーに座る。
頭をガシガシと掻いて、あの日の事を思い出していた。
あれはこーちと仲のいいヤツが退所する日だった。
ソイツはこーちと一緒になるとやたらとベタベタするヤツで。
俺はそれが嫌で嫌で、よくこーちに
ジ「アイツと距離近くね?」て進言してたけど
優「お前もな。」て返されて軽くあしらわれていた。
そのうち、なかなかデビュー出来ないのにしびれを切らしたヤツが退所するって事になった。
さっきの夢は現実に起こった事で、ヤツが退所する日にこーちに告白していたのを俺が偶然見てしまった場面だった。
優「ごめん」
そう言ってこーちはお断りしていて、俺はほっとしていたんだけど。
それでも俺はヤツが羨ましかった。
「好きです」
そのたった一言が言えなかった当時の俺にとっては。
あの頃は君が誰かと喋ったり笑ったりする姿をみているだけで胸が締め付けられた。
中坊みたいに君の指が俺の指に触れただけで胸がドキドキして。
撮影で肩を組んだり、笑いあったりするだけで、俺の中心が熱を帯びた。
あの頃はウブだったよな。
そんな事を思い出していたら寝室の扉が開いて、眼を擦りながらこーちが現れた。
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櫂(プロフ) - (名前)こーじさん» こーじ様、こちらでもコメントありがとうございます(^^)。書き始めた頃はこんなに続くと思いませんでした笑。これからも続けて書ければなぁって思ってます。こーじ様のコメント本当に嬉しいです(//∇//) (2022年4月6日 18時) (レス) id: 71bb51adba (このIDを非表示/違反報告)
(名前)こーじ(プロフ) - やばい、めっちゃ好きな作品に出会えてめっちゃ嬉しい!! (2022年4月6日 1時) (レス) id: f61fc3e8a4 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - ventさん» ventさーん!作品色々読んで頂きありがとうございます!キュンキュンして頂けてるなんてホントに嬉しいです!!ここ最近話しが暗くなって来てしまっているので、今後どうしようかと思案中です笑。でも、ハラハラドキドキ目指してますので、もう少しお付き合い下さい! (2020年9月15日 8時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - トパーズさん» トパーズさんにそんな風に言って頂けて有り難い!!どうしても私の書く北斗さんが不憫になってしまうのがかわいそうで。でもキュンキュンして頂けてるなら安心しました!!鈍感yg君は私のツボです笑。リアルもそんな感じがして笑笑。 (2020年9月15日 8時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
vent(プロフ) - jsが女々しいjsygも好きなので櫂さんの文章に他の読者の方と同じくキュンキュンしてます!十六夜やsoWhatで泣きそうになってもとても癒されてます(^-^*)ygが絡むと女々しくなるjs読んでいて大好きなのですが第三者に取られはじめると死んだ目し始めてます笑。 (2020年9月15日 0時) (レス) id: 2876756369 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫂 | 作成日時:2020年8月10日 9時