4 ページ4
北斗side
優「ほく・・・だめ・・・」
地面に叩きつけられた優吾が俺に手を伸ばす。
何がだめなの?
俺は優吾を助けたい。
きっとこれは神様が優吾を助ける為に授けてくれた力だ。
グルル・・と唸り声を上げながら男どもに近付くとリーダーらしき男以外は皆後退りをしてバラバラと逃げ始めた。
男「はっ!!どんなグレードだ、コイツは?こんな馬鹿デカい黒豹は見たことが無い!」
歓喜の表情で俺を見上げたリーダーらしき男は、すぐに人型からアンスローへと変化し俺と視線を合わせて睨み合った。
睨み合いながらグルグルと回る横で、心配そうな表情の優吾が視界に入る。
灰色の斑点を身に纏い、太い首をもたげながら強靭な肩から伸びた手が地面をヒタヒタと鳴らす。
巨大なハイエナのアンスロー。
獣人の中でも元々体躯の大きな種族だが、更に大きく感じるのは圧倒的優位に立つ者のオーラのせいか。
身体はあの男と同等でも自分の心は子供のままだし、戦わねばならぬ空気に恐怖が迫り上がって身体が震える。
けど、優吾を助けなきゃ。
このまま捕まれば2人ともきっと酷い目に合うに違いない。
すると突然。
グオオォォーーーッッーーーーー!!
優「ほくっ!危ない!」
男が大きな咆哮を上げ、いつの間にか俺の目の前に現れ首元に牙を立てようとした。
けど優吾の声に反応して咄嗟に身をかわす。
生暖かい息が首を掠めていくのにホッとした瞬間、その隙を見透かすように反対側の爪で身体を切り裂かれた。
北「うぁっっ・・・」
肩から鮮血が滴り、激痛に顔が歪む。
所詮は子供と大人。
この大きく変化した身体をどう扱っていいかもわからないし、戦うスキルもこの男に比べたら俺なんかゼロに等しい。
でもただただ優吾を守りたい。
その一心だけが俺の精神と身体を支え、瞬時にハイエナの身体に爪を立て牙を食い込ませる。
男「うおおー!!このクソガキがーーー!!!」
俺の反撃に男は激昂し、突進して来て俺の身体を切り裂いた。
北「・・くっっ・・・う・・・」
優「やめて!!ほくにいたいことしないで!!」
北「ゅ・・・ご・・・」
戦況が優位になったのを嗅ぎつけていつの間にか戻って来たコイツの仲間が、また俺らの周りを取り囲み始めた。
だめだ・・・このままじゃ・・・
2人とも捕まる・・・
294人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:櫂 | 作成日時:2023年3月23日 22時