Babylon 2 (ページ3)

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北斗side

「コイツは闇市にでも売りますか」

俺らを捕らえて安心したのか、獣化を解いた奴が優吾の身体を軽々と抱き上げる。

優「ぃやぁ！」

北「だめだ！！やめろ！優吾に触んな！！」

優「ほく！！にげて！！」

優吾は泣きながらも隙をついて逃げろと言わんばかりに俺に向かって叫ぶ。

北「優吾！！」

そうじゃない。俺だって優吾を守りたい！

優「ほく！！」

男に担がれながらも俺の方に手を伸ばす優吾の瞳から次々と溢れる涙。

それを見た瞬間、2人を引き裂いた男達に対し生まれて初めてどす黒い負の感情を抱いた。

ユルサナイ

ドクン・・・

身体の内側から迸るような熱が生まれる。

ドクンドクン・・・

北「・・うぅ・・ハァ・・ハッ・・・」

これは何？
身体が熱い
息が出来ない
自分では制御出来ない「ナニカ」が外へと放出されようとしている。

ドクンドクンドクン

熱い

熱い

こんなの初めてだ。

恐怖が心を支配する前にその「ナニカ」は外側に向かってどんどん増幅していく。

俺を拘束していた男の手が震えながら離れた。

ドクンドクンドクンドクン・・・

優「ほくっっ！だめ！！」

俺の異変に気付いた優吾が男の腕から逃れようと必死に暴れている姿が視界に入る。

北「優吾を・・ハ・・ナ・・セ・・・」

身体の内から放出されるエネルギーに圧倒されながらも声を絞り出し一歩一歩、優吾を捕まえている男に近づくとソイツはたじろいで後退していく。

「な、何だよコイツ！こっち来んな！！」
「あ、いてっ！このガキ！おとなしくしろ！！」

俺に気を取られていた男が優吾に肩を噛まれ、そのまま彼を地面に叩きつけた。

ドクドクドクドクドク・・・

許せない。優吾を傷付ける奴らは！！

コロシテヤル！！！

内側に溜まっていた莫大な熱が全身を駆け巡り、そして一気に放出した。

「おい！なんだ！！」
「わーーー！！！」
「嘘だろ！！」

男達の悲鳴をかき消すように、自分の周囲の風が渦巻き木々が吹き飛んでいく。

恐怖と畏怖の眼差しで俺を見つめる男達。

ナニガオコッテル？

「ば、馬鹿な！！ガキのくせにこんなバカでかいアンスローになりやがった！！」

アンスロー？
僕が？

言葉の代わりに出たのは低い唸り声と咆哮。

そして漆黒の体毛に覆われ、巨大な体躯に変化した己の姿。

男「まさか・・黒豹のアンスローとは・・・恐れ入った・・・」

あの日。

自分がアンスローである事を知ったんだ。