Babylon 2 (ページ1)

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1 優吾と北斗ページ1

北斗side

今までは俺と2人の世界を楽しんでいた優吾。

けど出会いから半年が経ち、気持ちが外の世界に向けられつつあるのならその手助けをしたい。

俺は微かに震える優吾の手を取り、扉の外へ慎重に歩を進めた。

雨はもう止んでいて、湿った土の匂いが辺りを包んでいる。

優「ほくぅ・・・」

俺の腕にギュッとしがみつき恐る恐る土の上に降り立つ優吾は不安そうに震えていた。

北「大丈夫だよ。僕が付いてる」

けど、いつの間にか陽が差した庭を眩しそうに見つめていた優吾が突然「わー！！すごーいっ！！」て言いながら駆け出した。

北「優吾！！」

唖然とする俺を尻目に、それはそれは楽しそうに飛んだり跳ねたり。

ぬかるんだ土なんか気にも止めず、水たまりの中をバシャバシャと跳ね、キャハキャハ笑っている。

ふわふわの髪が陽の光に照らされて、それはまるで天使のようだった。

優「ほく！きて！！」

おいでおいでと手招きする優吾につられ、誰かに気づかれたら終わりなのに時が経つのも忘れ、夢中になってはしゃいだ。

北「優吾見て！虹！！」

優「にじ？？・・・わーーっ！！キレイ！！ほく、キレイだね」

七色に輝く虹を見て、キラキラと瞳を輝かせる優吾。

外に連れて来て良かった。

すると優吾が俺の頭をポンポンと優しく撫でて俺を抱きしめた。

優「ほく。ありがと。ほくやさしい・・だいすき・・」

北「！！」

優「ゆうごね・・・ちょっとだけおもいだしたの。
ママにね、こんなふうにしてもらった。とてもうれしくて・・・だからほくにもあたまポンポンね」

ふにゃって笑う優吾の笑顔に、堰き止めていた何かが流れる。

ずっと疑問に思ってた。
家族って本当はどんなかな？

学校の友達から話される家族の話し。

何気ない会話も
愛情込めた料理も
真剣に怒られる事も
笑い合う日常も
温かなスキンシップも

うちには何もかも欠けてて・・・

だから・・・

そのうち学校では自然と家族の話しは避けるようになった。

回された両腕から伝わる温もりに涙は止めどなく流れていく。

北「うぅっ・・グスッ・・ゅ・・・ご・・・」

優「どしたの？ほく？ポンポンやだった？ごめんね・・・ほくぅ・・・ごめんね・・・」

北「違うよ。僕、嬉しいんだ」

優吾が本当の家族だったら良かったのに。

あの時。

心が溶かされ、満ち足りた幸せに気を取られ、気付けなかった。

酷く恐ろしく危険なものが俺ら2人に近付いていることに。

　