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ジェシーside
結局あの服は駄目になってしまったけど、その服の撮影は終わっていたし、こーちの家の前を借りて撮影させてもらった事でチャラになった。
あの日から俺はこーちの家を繰り返し訪れるようになる。
8年間の空白を埋める様に、アクセサリーを作る
こーちの側でたわいも無い話をするのがこの上なく幸せだった。
優「また来たの、ジェシー。暇なの?モデルの仕事ないの?」
ジ「あのねー。俺、海外でも活躍してんの!たまたま今時間があるだけ!」
優「ふーん。怪しい」
そう言って目尻をクシャクシャにして笑う顔は昔とちっとも変わらない。
君のその笑顔が好きだった。
こーちは陽だまりみたいな温かい人で、そんな彼の周りにはいつも沢山の友人が集まった。
俺にとって君の隣は、くだらない話を永遠に出来るくらい居心地が良かったんだ。
ふと、こーちの右手の薬指にあのシルバーの指輪が光っているのが見えた。
その指輪は高校3年の時から突然彼が身につけはじめたもの。
友人達の間で、当時誰と付き合っているのか追求され、答えを言わない彼はいつも冷やかされていた。
結局卒業まで真相はわからず、それでも真っ赤な顔をしてみんなの冷やかしを回避しようとする彼の笑顔を見て、俺は告白も出来ずに失恋した事を知った。
まぁ・・・。告白する勇気も無かったけどね・・・。
じっとその指輪を見て動かなくなった俺に気付いたのか、こーちが声を掛けて来た。
優「何?」
ジ「まだ・・付き合ってるの?その指輪の人と・・」
ふふって君は柔らかく笑って、明確な答えはやっぱり教えて貰えなかった。
その笑顔を見ると8年前の思い出が蘇って胸が苦しくなる。
やっぱり君が好きだ。
思わず手を伸ばしてその頬に触れた。
優「??」
ジ「・・パンくず付いてる」
優「えっ!!!」
ガタガタって椅子から転げ落ちそうになったから
慌てて支えた。
ジ「うそうそ。そんなに驚く?フツー。AHAHA」
優「もぉ〜。信じらんねぇー」
ジ「相変わらず反応が面白いなぁ」
優「うっせ!!」
真っ赤になって作業を始めるこーち。
高校生の時も彼がレザークラフトをする作業を横で眺めているのが好きだった。
綺麗な指先に見惚れながら、そこから作り出されていく物をボーっと見ている穏やかな時間。
再会して数日なのに次から次へと思い出す過去の思い出は、俺の心の中を満タンにして、今にも彼に向かって溢れ出しそうになっていた。
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櫂(プロフ) - thhyさん» thhy様、とても嬉しいです!かなり昔の作品ですが私もお気に入りなので、thhy様のコメント頂けて機会があったら続編も書いてみたいなって思えました。ありがとうございます(^^) (2月9日 0時) (レス) id: 10b1900e3d (このIDを非表示/違反報告)
thhy - このお話とっても面白いので更新待ってます! でも、無理だけはしないでくださいね! (2月3日 11時) (レス) @page50 id: 69657aab33 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - sailさん» うわぁーん!sailさんお久しぶりです!嬉しい!読んで頂いてるだけでも励みになります(//∇//)しかし今回は難産でした笑。jsygはいつも書いてるので良かったのですが残り2組が難しかった。でも大好きって言ってもらえて良かった(≧∇≦)まだまだ精進せねばです笑 (2021年6月25日 1時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - お久しぶりです!最近立て込んでいて感想等書けなかったのですが、櫂さんの作品をいつもすごく楽しく拝読しています!このお話も三者三様にラブラブで少し切なくて大好きでした。ラストはまさに大団円で…涙。彼らの幸せな姿をまた見られれば嬉しいです。応援してます! (2021年6月25日 0時) (レス) id: b8f530ada7 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - サキさん» サキ様ぁ!コメントありがとうございます(^^)そう言って頂けるとこちらこそ幸せな気持ちになります(//∇//)作品を作るうえで行き詰まった時に、皆さんからのコメントを読み返してパワーに変えてるんですよ(≧∀≦)本当にありがとうございます。更新頑張りますね(^^) (2021年5月19日 16時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫂 | 作成日時:2021年4月13日 17時