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北斗side
今まで味わったことの無い幸せに満たされて眼を覚ます。
カーテンの隙間から覗く柔らかな日差し。
逞しい腕と温かな胸に包まれている事にすぐ気が付き
昨晩の事を思い出して恥ずかしさが込み上げて来る。
慎太郎は俺をとても優しく愛してくれた。
慎太郎の胸に耳をあてると聞こえてくる規則的な心臓の音。
トクントクン・・・。
幸せだな。
そっと顔を上げると、俺の大好きな慎太郎の耳から顎にかけての男らしいラインが間近で堪能出来て、思わずそこを指でそっとなぞった。
すると突然その手を掴まれ、驚いて思わず肩が跳ねる
慎「いたずらしないで下さーい!」
そう言って笑うかすれた声と笑顔が、また俺に熱をもたらす。
北「慎太郎・・。だって・・好きなんだ。ここ・・」
慎太郎の顎のラインをなぞると「そなの?他は?」て
いたずらっ子みたいに笑った。
北「全部・・ほんとは慎太郎の全部が好き・・・」
指と指を絡ませて、お互いを見つめて唇を重ねる。
そのまま息も出来ないくらいギューッて抱きしめられまた深く愛し合った。
それは夕方になるまで飽くことなく続いて・・・。
俺の左手の薬指に輝くリング。
あの告白の後
慎「作りかけでごめん!!」
特大の大声で謝りながら俺の指にそのリングをはめてくれた。
慎「こーちにさっさと仕上げて告白しろって、めちゃくちゃ怒られてさ。
それで俺眼ぇ覚めて・・まだ作りかけになっちゃったけど北斗にこの思いを伝えて指輪を渡そうって」
その指輪を見てふとあの言葉を思い出す。
「世の中は北斗が思うより優しいよ」
そう言って微笑んだこーちの顔。
本当だね・・・自分の心を開けば世界はこんなにも
優しい。
こーちに謝らなきゃ。そして今度あの店に行って、お互いの名前を入れて2人でこの指輪を完成させよう。
あどけない少年のような顔で、また寝息を立てている慎太郎の頬にそっと口付けて、俺はまた彼の胸に耳を押し当て、その鼓動を聴きながら眼を閉じた。
ある日。
父から突然手紙が届いた。
住所を知らせたのは慎太郎。
慎太郎は俺の実家に赴き、父に全てを話してくれたのだ。
「苦しんでいたのに気付いてあげられなくてすまん。元気で良かった。森本君と一度顔を見せに来なさい」と記してあった。
その手紙を握り締めて泣いていると、慎太郎が俺の頭を撫でてくれた。
世界はやっぱり優しい。
慎太郎はまたニカッて笑って、俺を強く強く抱き締めた。
「閉じた心を開く」 fin
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櫂(プロフ) - thhyさん» thhy様、とても嬉しいです!かなり昔の作品ですが私もお気に入りなので、thhy様のコメント頂けて機会があったら続編も書いてみたいなって思えました。ありがとうございます(^^) (2月9日 0時) (レス) id: 10b1900e3d (このIDを非表示/違反報告)
thhy - このお話とっても面白いので更新待ってます! でも、無理だけはしないでくださいね! (2月3日 11時) (レス) @page50 id: 69657aab33 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - sailさん» うわぁーん!sailさんお久しぶりです!嬉しい!読んで頂いてるだけでも励みになります(//∇//)しかし今回は難産でした笑。jsygはいつも書いてるので良かったのですが残り2組が難しかった。でも大好きって言ってもらえて良かった(≧∇≦)まだまだ精進せねばです笑 (2021年6月25日 1時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - お久しぶりです!最近立て込んでいて感想等書けなかったのですが、櫂さんの作品をいつもすごく楽しく拝読しています!このお話も三者三様にラブラブで少し切なくて大好きでした。ラストはまさに大団円で…涙。彼らの幸せな姿をまた見られれば嬉しいです。応援してます! (2021年6月25日 0時) (レス) id: b8f530ada7 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - サキさん» サキ様ぁ!コメントありがとうございます(^^)そう言って頂けるとこちらこそ幸せな気持ちになります(//∇//)作品を作るうえで行き詰まった時に、皆さんからのコメントを読み返してパワーに変えてるんですよ(≧∀≦)本当にありがとうございます。更新頑張りますね(^^) (2021年5月19日 16時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫂 | 作成日時:2021年4月13日 17時