Leucadendron Jade Pearl

12 ページ34

慎太郎side


俺は一大決心をして北斗を呼び出した。


慎「北斗！俺は北斗の事が好きです！」

北「え・・」

慎「俺と・・『からかわないで！』」

慎「へ？」

北「からかってんだろ！お、俺なんか・・慎太郎と釣り合わない」

慎「何言って・・『もう・・・傷付きたくないんだ』」

北「ごめん・・」

慎「北斗・・」

突然走り出した北斗に、俺が伸ばした手は僅かに届かなかった。

小雨が降り出した道路を大男2人が全力疾走。

慎「北斗！待って！」

追いつきそうで追いつけず距離を縮められないまま。俺だって足が速いのに意外と彼も速いんだ。

そのうち信号に阻まれ距離は更に開く。
どんどん遠くなっていく背中。

このままは嫌だ！
俺には伝えたい事がまだあるんだ！


全く見えなくなった北斗の姿を追い求めて北斗の家に向かう。

そして彼の携帯に何度も電話を掛けた。

なかなか出ないけど繰り返しコールすると、ようやく愛しい人の声が聞こえてきた。

北「・・・はい」

慎「・・北斗？」

北「・・・」

慎「俺・・・北斗の家の前にいるんだ・・・」

北「えっ・・・」

慎「ちゃんと話したい・・・」

北「・・駄目だよ・・・」

慎「どうして？」

北「・・怖い・ん・・グスッ・・・怖いんだ」

泣いている北斗の声に胸が苦しくなる。

慎「北斗を泣かせたいわけじゃない・・・。
本当に北斗の事が好きなんだ。大切に思ってる」

慎「・・・でも北斗が俺の事嫌いなら『違う！！』」

北「違う・・グスッ・・・でも・・」

慎「・・ここで待ってる。北斗と話せるまで」

北「え・・・」


電話を切った途端に雨足はどんどん早くなり、雷も鳴り始めた。


俺の全身はずぶ濡れで、立ち尽くしている俺を道行く人がジロジロと視線を送る。

するとマンションのエントランスから傘をさした北斗が俺に向かって歩いて来て傘を俺に傾けた。

北「こんな所にずっとたってられても困る・・・
とりあえず入って・・・」


北斗の部屋に入り、タオルと着替えを渡される。

上半身を脱いだところで、北斗が恥ずかしそうに俺から眼をそらした。


着替え終わって髪の毛をタオルで拭きながら、北斗に近付くと、彼は少し後ずさった。


慎「北斗・・・。この前は突然ごめん。
でも、この気持ちは本気。
それにあの女の子には告白されて断ったら、いきなり抱きつかれただけなんだ。本当だよ・・・」

慎「からかってなんかない。本気なんだ」

慎「それにもう1つ。どうしても北斗に伝えたい事がある」

13→←11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す