1 物言わぬ恋 ( 赤黄 ) ページ2
ジェシーside
夕暮れ時の教室。
机に突っ伏し、横を向いて寝ている君。
右手の薬指にはシルバーのリング。
長い睫毛。
柔らかそうな唇。
触れたくて
そっと唇を寄せた。
すると君の瞳がゆっくりと・・・
はっとして眼が覚める。
またこの夢か・・・。
あれから8年も経つのに、その記憶は鮮明に甦る。
隣で寝ている彼女がモゾモゾと動くから、起こさないようにそっとベッドから抜け出した。
身支度をし、車で南青山のスタジオに向かう。
控室に入るとスタッフから「今日は外で撮影なんで!!」て声が掛かった。
高校を卒業し東京の大学に通っている際、俺は街中で今の事務所に「モデルにならないか」と声を掛けられた。
あまり興味は無かったけど仕事はトントン拍子に好調で、そのままその世界に身を置いている。
スタジオの近くにある青山霊園。
南青山の奥まった場所にあり、とても都会の真ん中とは思えない、緑も多い静かな場所だ。
撮影の合間に散歩なんかするけど、仕事でここにくるのは初めてだった。
カメラマン「ジェシー!目線もう少しこっちね!!そうそう!もう少し伏せた感じで!はい、いいよ!!そう!」
カ「次、ここにしようか」
カメラマンが指差した先には、通りの少し奥まった場所に立つ白い家。
その横に大きな木が立っていて、たしかに雰囲気がいい。
スタッフ「撮影許可貰って来ましょうか」
カ「そうだね」
けれどいくらチャイムを鳴らしても、家主は出て来なかった。
ジ「俺、飲み物買って来ていいですか?」
スタッフ「ここにもありますけど!」
ジ「あ〜。違うのが飲みたいから・・・」
そんなのは口実で、昨晩の夢見が悪かったせいもあり
気分転換したかったのだ。
少しブラブラしたところで自動販売機を見つけ、駆け出した瞬間、横から突然衝撃を感じた。
「わっっ!!!!!」
眼の前に黄色の花が迫って来たかと思ったら、そのままもんどりうって倒れた。
ジ「・・ててて」
?「大丈夫ですか?すみません!!」
勢いで俺の上に乗っかる形になった相手の顔は、大きな黄色い花束に阻まれて見えない。
ジ「大丈夫ですけど・・・俺の上からどいてくれると助かります」
?「わー!!すみませんすみません!!」
花束を投げ出して、その人は慌てて立ち上がった。
ジ「・・・こーち・・・」
優「ジェシー・・・」
8年前に時が戻った気がした・・・。
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櫂(プロフ) - thhyさん» thhy様、とても嬉しいです!かなり昔の作品ですが私もお気に入りなので、thhy様のコメント頂けて機会があったら続編も書いてみたいなって思えました。ありがとうございます(^^) (2月9日 0時) (レス) id: 10b1900e3d (このIDを非表示/違反報告)
thhy - このお話とっても面白いので更新待ってます! でも、無理だけはしないでくださいね! (2月3日 11時) (レス) @page50 id: 69657aab33 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - sailさん» うわぁーん!sailさんお久しぶりです!嬉しい!読んで頂いてるだけでも励みになります(//∇//)しかし今回は難産でした笑。jsygはいつも書いてるので良かったのですが残り2組が難しかった。でも大好きって言ってもらえて良かった(≧∇≦)まだまだ精進せねばです笑 (2021年6月25日 1時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - お久しぶりです!最近立て込んでいて感想等書けなかったのですが、櫂さんの作品をいつもすごく楽しく拝読しています!このお話も三者三様にラブラブで少し切なくて大好きでした。ラストはまさに大団円で…涙。彼らの幸せな姿をまた見られれば嬉しいです。応援してます! (2021年6月25日 0時) (レス) id: b8f530ada7 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - サキさん» サキ様ぁ!コメントありがとうございます(^^)そう言って頂けるとこちらこそ幸せな気持ちになります(//∇//)作品を作るうえで行き詰まった時に、皆さんからのコメントを読み返してパワーに変えてるんですよ(≧∀≦)本当にありがとうございます。更新頑張りますね(^^) (2021年5月19日 16時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫂 | 作成日時:2021年4月13日 17時