39 苦しみは ページ40
優吾side
北斗から逃げる様に遠く離れた学校に赴任した。
もう誰も不幸にしたく無い。その一心だった。
赴任先では誰とも打ち解けないように冷たい態度をとるようにしていた。
けれどそんな俺の心に不意に入り込んだ奴がいた。
ジェシー。
はじめはお金持ちの偉そうな態度の嫌味なお坊ちゃんだと思っていた。
傲慢な態度に先生達も親に遠慮してるのか誰も注意しない。
俺は元々の性分もあって、どうなってもいいと思っていたから2人を注意した。
それが少しずつ彼らの態度に変化をもたらす。
とにかく笑わせようとしてくるし甘えてくる。
そんな行動が樹を思い出させた。
つらくて
苦しくて
悲しくて
俺は忘れようと夜の街に出るようになった。
誰でもいい。
樹の事を忘れさせて。
そんな時、ジェシーに半ば脅されて身体の関係になったけど・・・。
彼の胸の中央には大きな手術痕があって
はじめはその傷について触れる事はなかった。
けれど身体を合わせる回数が増えるにつれて、ジェシーはポツポツと自分の話をする様になる。
ジ「俺さ、3年前に心臓の移殖手術受けたんだよね」
優「え・・」
ジ「見えないっしょ？元気だから。
サッカーなんかもやれてさ、薬は飲んでるけど拒絶反応もほとんどなくてさ・・・。
俺に心臓くれた人に、すげー感謝してる・・・」
優「ど、どこで移植したの？」
ジ「神奈川の京政病院。俺その時出先で発作が起きてさ、父親が車で病院行く途中で事故に遭って大変だったんだよね」
全身の血の気が引く。
まさか。
そんな。
身体の震えが止まらなかった。
俺に背を向けて服を着ているジェシーはそれに気がつかない。
ジ「でもさ・・俺が心臓貰えるって事は・・」
ジ「どこかの誰かが亡くなってるって事で・・それで生き伸びてる俺って、なんなんだよって思って・・・
しばらくスゲー辛かった・・」
優「ジェシー・・」
苦しむ胸の内を明かす彼を見て
俺は胸がギュッと掴まれるような感覚に陥った。
そしてそんな彼の根本にある優しく純粋な気持ちに気付かされ、どうしよもなく彼に惹かれ始めている自分に吐き気がした。
こんなの駄目だ。
離れなきゃ。
もう誰も不幸にしたく無い。
( 嘘つき。俺の事なんか好きじゃないくせに・・・。
俺も好きじゃない。お前なんか )
必死になって心を隠す。
けれど、抱かれる度に聞こえる心臓の音に胸が高鳴り
揺さぶられる度に心の中でその名を呼んだ。
「樹」
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櫂(プロフ) - (名前)こーじさん» こーじ様ぁ。私の拙い作品を読んで頂きありがとうございます(//∇//)とても嬉しい〜。こちらの作品は途中自分も辛くなってなかなかお話しが進まなくなった思い出深いものです。これからもこーじ様にハマって頂ける作品を作れたらなぁって思います（≧∇≦） (2022年4月12日 17時) (
レス) id: 71bb51adba (このIDを非表示/違反報告)
(名前)こーじ(プロフ) - 最近、櫂さんの作品を見るのにハマっています‼︎今回の作品を見つけてやっぱり、櫂さんの作品に間違いはないなと思いました。それに、この作品めちゃ泣けました😭😢 (2022年4月11日 23時) (レス) @page34 id: f61fc3e8a4 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - たぬをさん» そんなそんな。たぬを様をメロメロに出来たら本望ですよ(//∇//)これからも振り回せるようにygみたいに筋トレして精進しまーす笑笑(≧∀≦) (2021年4月3日 21時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
たぬを(プロフ) - 嗚呼ああっっ櫂様の作品や櫂様からのコメ返しでメロメロにされてしまう(泣)まるでygのような櫂様に振り回されたいっっ(≧∀≦) (2021年3月28日 20時) (レス) id: 31d9a0f904 (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - たぬをさん» とっても嬉しいのです(//∇//)これからもよろしくお願いします(^^)ドロドロは「鵺」の方で発散して行きます！笑。 (2021年3月28日 18時) (レス) id: 7e2afa0867 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫂
| 作成日時：2021年1月5日 21時
