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彼女は目覚めると、殺風景な天井が目に入る。
身体は金縛りのように固く指先を動かすのがやっとだった。
「うわっっ！起きてる！」
『っ…！』
視界いっぱいに映りこんだ男は大きな声とオーバーリアクションを見せドタバタと離れていく。
彼女は組織に飼われていた身で何となく察した。
……きっと、もうすぐ私は死ぬんだ。 と。
しばらくしてまた誰かが近づいてくる。今度の足音はゆっくりと。
「おはよう。目覚めてくれて良かったよ。」
『……』
「今は薬を使ってるから起き上がることができないと思うけど徐々に楽になるからね」
柔らかく微笑む彼の目は紅緋色をしていた。笑ってるのに笑ってない。ああ……もうダメか……。
彼女は静かに目を閉じた。
『あれ……？』
次に彼女が目を覚ましたのはそれから2日後だった。
生きてることが不思議で、死ぬはずだったのでは？と眉間に皺を寄せた。
紅緋色の目をした彼の言った通り身体はスッと軽く起き上がって何日ぶりかに地に足をつけて立つことができた。
ここは、どこなのか。
組織なのは間違いない。 ……しかし彼女は来たことのない組織だと辺りを見回す。
小さな小窓からは何も見えない、雑木林だけが広がる。
「うわあああああああ」
『きゃっ』
「ああああああああぁぁぁ」
「どうした翔太っ！」
「もう〜〜〜俺ほんと無理！！！」
叫び声に思わず身体ごと震え振り返ると 小窓からずっと遠い出入口の扉が開いており男が2人
1人は腰を抜かした状態で彼女を指さしガタガタと震えている。
もう1人は奇妙な動きをしては腰を抜かした男を見ながらケラケラと笑っている。
「翔太ぁ〜よく見てみ？Aちゃんが起きただけだからぁ〜」
ニコニコと表情を崩さず彼女に向かって走ってくる男は初対面にも関わらずギュッと抱きつく
固まる彼女に「うへへ」と下心しかない声を出す彼が離れると躑躅色の目と視線が合う
「……痛かったよね」
『……っ』
躑躅色の目をした彼は彼女の叩かれ続けた頬をするりするりと優しく撫でる
彼女自身も忘れていた出来事に腫れが引くほど眠っていたのかと正直驚いた。
と、頬を撫でる彼の手の動きを止めたのは先程まで腰を抜かしていた彼だった。
「佐久間キャラ守れよ」
「え〜〜？佐久間さんは女の子には優しいキャラだよ〜？」
「2次元だけだろ」
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作者名：usagi
| 作成日時：2020年11月22日 19時
