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さっくんに手を引かれた勢いが強くてギュッと抱きつく形になる。違うちがうこれは不可抗力で……
「うわ！みてよ！やっぱりAちゃん似合うよ！」
「……Aって俺のこと好きなの？」
『あの、いやさっくん？』
「うわあ……A綺麗すぎん？めめに見せるから写真撮ってもええ？」
「いやまじ目黒居なくてよかったな。依頼前に襲われてたな」
『照くん笑えないよ……』
「うんうん。今回は本物のお姫様とボディーガードと執事に見えるね」
「佐久間は忠誠を誓った宮舘王国の市民執事でありまあああす！」
「「ちょっとお前らうるせえ！」」
PCと向き合う2人が同時に振り返って大きな声を上げるからみんな「ごめ〜んって」ってクスクス笑う
あべくんは解析や指示役を得意とするけど今回は翔太くんと組んで情報を集めているからかなり頭を使ってるらしい
なんたって翔太くんは気になることはとことん調べちゃう細すぎる人だからいつも大雑把に調べて臨機応変に指示を出すあべくんとは波長がズレてる
「阿部ちゃんがピリピリしてるの珍しいにゃ」
『ちょっとさっくん。私を盾にしないでよ〜』
「さっくんのそれ、ただAに触りたいだけやから」
「えへへ バレてた〜？」
『っ！もうさっくん！』
ラウくんの選んでくれたドレスは淡いグリーンで割とシンプルな大人なもの。
「はいおいで〜」とカメラからコテに切り替えた康二くんに髪の毛を巻いてもらう。
「お客さん！今日はどうします〜」
『えと……このドレスに似合うような』
「ふわふわに巻いときますわ〜」
『ふふっ このやり取りいる？』
「美容師とか憧れてんもん！なりたいもんあったやろ？色々。結局夢は夢、現実は厳しいってこっちゃ」
『そうだね……家族団欒って、夢物語だったもんな』
「……でも遅くなったけど俺にはこんなにたくさん大切な家族出来たで？」
『……』
「生まれ変わったら、夢叶うといいよなあ。」
『ね、ふふっ』
誰からも必要とされなくなった私と孤児だった康二くんと、鏡越しで笑い合う
薄らメイクを施して、そろそろ現場へ向かう時間だ
「じゃあいってらっしゃい。」
「帰るときは4人でね」
非番のだてさんとラウくんは私たち全員に同じ言葉を掛けながら背中に手を当てる
願掛け、みたいなもの。
「俺の指示無視しちゃダメよ〜」
「…俺頭パンクしそ」
「翔太お疲れ、みんな依頼全うしてね」
依頼、開始
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作者名：usagi
| 作成日時：2020年11月22日 19時
