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照くんはこの中ではそれなりに常人だ。筋トレバカなだけだとふっかさんは笑いながらそう教えてくれた
見た目こそイカついがふっと目が合うと顔の筋肉が溶けているのではと思うほど柔らかくなる
「なあんだよ」
『あ…ううん…』
「これ、いくの？」
『あ……うん一応立候補だけしてて』
「ふうん」
「岩本くん細かい作業得意だからAちゃんと一緒でもうまく盗めそうじゃない？」
ラウくんが予告なく顔を覗き込んでくるから少し顔を仰け反ってまた照くんと目が合う
無言で瞬きのタイミングがたまたま合って視線を逸らす
檸檬色の目は吸い込まれていきそうで長く視線を合わせていられない。なんだか、気持ち的に。
「え〜それ俺も行きたい」
「目黒は絶対駄目！部屋汚ねえやつが宝石見つけられるわけねえじゃん」
「しょっぴーうざ」
「俺は事実しか述べてません〜〜」
「めめ、翔太拗ねてるだけだから気にすんなあ」
「……ふっ 戦力外通告受けてんの、しょっぴー。ウケる」
「……全然笑えねえよ、アホ」
スマホとにらめっこを続ける翔太くんは器用に毒を吐く。彼は知れば知るほど、二重人格だ。
初対面はビビりな人だと思っていたけどそれはほんの一部だったらしく普段はこっちが主だ。
ツンとバリアを張って我が道をゆく。縄張り意識の強さはこの組織にとって頼りになる人材なんだと。
それにしてもふっかさんは本当に不思議な人だ。
四方八方に目と耳が付いた化け物なんじゃないかと一生口には出さないが疑ってる。
いやもしかしたらゲーマーを装っているだけでテーブルを囲む私たちの会話を盗聴してるのかもしれない
案外寂しがり屋だから。まあ、ほんとのところは知らないけど。
「つか康二は？」
「まだ寝てるんじゃない？」
「今回も無駄に走り回ってたからね」
「Aちゃんと康二は似た境遇同士だからね」
『え？』
めぐろくんの言葉にだてさんとあべくんが返すとつまらなさそうにめぐろくんは相槌を打つ
だてさんの言葉に引っかかっていると「康二はスリが得意な孤児だったんだよ」と照くんが教えてくれた
康二くんは唯一西洋訛りな言葉を話す。変わった喋り口調だなあとは思っていたけど彼は一番シャイで打ち解けたのは一番最後だった
だからまだ知らないことが多くて驚くことが多い。
「んじゃあ今回の依頼は照と康二とAにお願いするよ」
ふっかさんの言葉に全員が頷いた
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作者名：usagi
| 作成日時：2020年11月22日 19時
