私の嫁がジンに似てるとかやめろや！

#01 現実逃避くらいさせてください。 ページ1

「はぁ……カイトさん三次元に出てきてくんないかな…」

「やだよそんなジンによく似てるキャラが来るとか」

「お前！！！カイトさん馬鹿にすんなよ自分がスイートフェイスしてるからってこのデザートが！」

「誰がデザートだ。」

「みんなそう言う！みんなそう言う！同僚に声がクリソツだとかどこぞの組織の真っ黒コートに激似だとか名前が幼馴染と一緒だとか！カイトさんは何にも悪くないだろ！！！」

「分かったから声量を下げろ。署内だぞ」

「池田秀一さんにも謝れ声が似てるだけで引かれるとか失礼にも程があるだろ…！」


開幕うるさくてすいません。私、公安にて降谷さんの同僚をしてます、AAです。降谷さんの同期同年齢、能力値に関しては天地の差があるので察せ(白目)としか言いようがありませんが、彼は彼で私と一緒だと吐きやすい愚痴もあるのかまめにつるんで来ます。

正直やめてほしい。署内でも大人気降谷さんが私と一緒にいるおかげで女性職員の嫉妬の目が凄いんですよ！降谷さん潜入捜査で忙しいからそんなことでご足労いただく訳にもいきませんし。

…そんなわけで、ここ数年の私は、二次元の嫁にお世話になってます。それがHUNTER×HUNTERという漫画に出てくる、件の“カイト”というキャラクター。元来三白眼で線が細い硬派キャラが好きな私がハマらないわけがないぐらいのハマりキャラ。

女性職員の嫉妬や嫌がらせで胃が痛いし正直ここで働くの辛いけどカイトさん養う妄想しながらその時の為になんて馬鹿げた貯金をしています…馬鹿っぽいけど正直楽しい…。


「はぁああカイトさん死んじゃうとかやだよぉおおお…！！！」

「……死んじゃうのか？」

「…原作だとあっさり首チョンパされるんです…」

「……それはえぐいな……。」

「うっうっ、もうじきアニメでもそのシーンがきてしまう…死ぬぐらいならまじ私のとこ来て全力で養うから…！」


どうどう、と降谷さんが私の頭をぽんぽん撫でる。だからそれをやめろ降谷さんに激怒されるより女性にねちねちされるほうがよっぽど陰湿でこえーんだよ！だのに誰も私を守ってくれないとか！

二次元にも逃げるわ誰にも守ってって言ってないけど！だって彼女でもないのに守ってって言われても困るだろどんな男性だって！まじカイトさん三次元来て私守って…！

…やだって言われたらしょうがない、諦めてどこかの教室で武術でも習おう。そもそもカイトさんがウチに来てくれる保証なんてどこにもないけどな。

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