青と金の宝石【番外編】 (ページ3)

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「そう……自分の道を選んだのね」

「だけど、最近"一人"っていうのが少し寂しくて」

はは、と自嘲気味に笑って言う。

「いってきます」と言っても「いってらっしゃい」が返ってこない。

「ただいま」と言っても「おかえり」が返ってこない……そんな寂しい世界。

家に帰れば必ず点いていた明るい照明や、いつも待ってくれていた母の笑顔に温かいご飯。

その全てが、脳裏に焼き付いたまま私についてまわるのだ。

「こんな暗い話、誰にも相談できなくて。紅子ちゃんに初めて話したよ」

普通の人は絶対同情してくるのに。

『可哀想』……その言葉は時に人の心を傷つける。

でも紅子ちゃんは違った。紅子ちゃんはずっと私を見つめ、静かに真剣に話を聞いてくれた。

「ふふ、紅子ちゃんありがと。少し心が軽くなったよ」

「……それ、黒羽くんとか中森さんには話さないの？」

────────キーンコーンカーンコーン

丁度よく、ホームルームが始まるという合図の鐘が鳴る。

行かなきゃ、と笑って誤魔化すと、紅子ちゃんは最後に一言だけ呟いた。

「少なくとも黒羽くんと中森さんは、そんな人じゃないと思うけどね」

"そんな人"がどんな人を指しているのかは分からなかった。

でもきっと、「同情する人」ではないということだろう。

目を見開いて紅子ちゃんを見ると、これ以上無いくらいの美しい顔で微笑んだ。

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「えっ、今のどうやったの！？」

学校からの帰り道。

青子ちゃんは私たちに気を遣ってか、「快斗と二人で帰りなよ！せっかく恋人同士になったんだから」と言って頑なに三人で帰ることを認めなかった。

私にとっては快斗に両親のことについての悩みを相談するチャンスなのだが、話をするきっかけが掴めずにいる。

「へへっ、奇術師(マジシャン)は種を明かしません！」

朝元気がなかった私に対して、私をどうにか元気づけようと快斗はさっきからずっとマジックを披露しているのだ。

少し不器用な彼に、愛おしさを感じた。

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