甘美な日常と、漆黒の闇を貴方に。【名探偵コナン】 (ページ29)

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＊episode 妖艶なる猛獣＊ ※微ありページ29

「ふぅん、温泉ねえ」
「たまには行ってみねぇか？怪盗キッドと探偵、どちらの仕事も忘れてさ」

神妙に考え込んでいるAを腕の中におさめ、スマホの画面を見せる。後ろを見上げるようにしてAが首をひねり、深く息を吐いた。

「快斗に抱き潰される未来しか想像できない」
「お、あながち間違ってねぇかもな」

俺が耳にふっと息を吹きかけると、ぶるりとAの肩が震える。その仕草も愛しくて、何か唆るものがあった。

「別に今日“も”抱いてやっても良いけど？」
「昨日のせいで腰が痛いから遠慮します････ひゃっ！」
「ふふ、良い声出すじゃねーか」

はむ、と耳を甘噛みされるのが弱いのは、恐らく俺しか知らないことだろう。顔を僅かに赤く染めたAがぶんぶんと首を振った。

「明日は本当に立てなくなるからっ！････その代わり、温泉には行こうかな」
「そうこなくっちゃ」

口元を緩ませ、ぎゅっとAを抱き直す。シャンプーの香りが鼻を擽り、はあっと熱を帯びた吐息が口から漏れた。

心臓の音が、煩い。

「もしかして＿＿少し興奮してくれてたり、する？」
「････しゃあねえだろ、好きな奴と二人きりでこんな体勢なら普通そうなるから」
「じゃあさ、」

何時ぞやの妖艶な笑みを浮かべたAが、俺をカーペットに押し倒す。そのまま自分も被さってきて、腰に腕を回された。

「昨日みたいな、そういった行為＿＿とまでは行かないけれど」
「ちょ、そこは････！」
「今日は私が攻めね？」

ふふ、と楽しそうに笑うAの瞳は、まるで獲物を捉えた猛獣の様。昨日の俺もこれくらい＿＿いや、これ以上に本能のまま動いていたのだろうか。

敏感なところをピンポイントで刺激され、呼吸が次第に荒くなっていく。

ああ、今夜も寝られねぇな＿＿すっかりその気になってしまった俺は、その躰を求めるかの様にAに手を伸ばし、身を委ねた。