甘美な日常と、漆黒の闇を貴方に。【名探偵コナン】 (ページ3)

今日:3 hit、昨日:27 hit、合計:94,196 hit

＊episode コーヒー＊ページ3

「無いってわけじゃないけど････何？またキッドの仕事でもあったの？」
「ああ、そうだ」

どさりと快斗がソファに身体を投げ出し、脚を組む。その仕草の一つ一つに見とれていると、ぎゅっと抱き寄せられた。

「大阪でもう疲れたから行かない････」
「そっか」

半ば残念そうに快斗が笑う。髪にそっと口付けられ、自然と顔が赤くなった。

ぎゅ、と快斗の腕に力が込められる。仕草の一つ一つが格好良すぎて、狡い。

「A、温かい」
「冷たかったら怖いって」
「ふふっ、それもそうだな」

快斗の顔が近づいてきて、それを受け止める。ちゅ、という小さなリップ音と共に、快斗が顔を離して親指で私の唇をなぞった。

「正々堂々と出来るって、良いかも」
「まあ流石の快斗も小学生に手を出すほどクズじゃないしね。････ひゃんっ！ど、どこ触ってんの！」
「へぇ、背中弱いんだ。覚えとこ」

ニヤリと笑う快斗を睨むが、ふんと鼻で笑われる。温かい手が頬をするりと撫でた。

「何それ、上目遣いしてるつもり？」
「睨んでるんだけど」
「かーわいぃ」
「なんか付き合い始めてから容赦なくなったね、快斗」
「ほっとけ」

苦笑いし、コーヒーを淹れて喉に流し込む。何を飲んでいるかと興味を持ったのか近付いてきた快斗に、カップをゆらりと揺らす。

「これ、ココアだけど。飲む？」
「お、さんきゅ」

まんまとカップを手に取った快斗に口元を緩める。一口含んだ快斗がげほ、と噎せた。

「にっが････騙したな、てめぇ！これコーヒーだろ絶対！」
「ひーっかかった！さっきの仕返し！」

目尻に笑い涙を溜めながら大笑いする。不満げに頬を膨らませた快斗がキッチンへとカップを手に持って走っていき、すぐに戻ってきた。

そのまま一言も発さずにいきなり私の唇を塞ぐ。息をしようと僅かに開けた隙間から甘苦いコーヒーが流れ込んできた。

「んっ！」
「俺好みの味は、こんな感じに甘いやつだから」

それをごくりと飲み込み、顔を背ける。羞恥に染まった頬を見て笑う快斗に大きくため息を吐いた。

いきなりそういう事をするのは、狡い。