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とある名家の少女の話 ページ1

__平等に与えられた世界で、今日も誰かが不平等に幸福を享受する。


少女は得体の知れない好奇にただ身体を突き動かされていた。
足を踏み入れたのは仙翁(せんのう)家に代々伝わる禁忌の山。生きて帰った者は居ないと、そう語り継がれてきた山だった。

入るな、入るなという縛りが逆に彼女の好奇を煽ったのかもしれない。踏み入れたらどうなるのか、知りたくなるのが人間の性というもの。
少女はみるみるうちに奥へと足を進めていった。

__少女には化け物が見えた。人を喰らい、時に自我を持ち、血に飢えた化け物が。
姿形は様々。だが視認が可能なのは少女を含めたほんのひと握り。誰かが不平等に幸福を享受するなら、逆も然りだ。不幸を与えられた人々は皆、何が起きたか理解する間も無く少女の前で儚く散った。

少女は幼ながらに現実の不条理を嘆いた。
彼女もまた、平等に与えられた現実の下で不平等な生を送る。

少女には代々引き継がれてきた術式が当たり前のように刻まれていた。だが彼女には式神が居なかった。


"式神無しの式神使い"
"あなたなんかガラクタ同然"


落胆した当主からは冷遇され、少女は居場所の無い現実に別れを告げる場所選びの最中だった。かと言って迷惑をかけず人目につかない場所というのはそう多くない。その折にふと思い出したのが此処だったのだ。
どうせ価値の無い命だ。死に場所は存分に選んでも罰は当たらなんだ、と。

山中、少女は狐と出逢った。輝く金色の毛を持ち、九つの尾を揺らす美しい狐だった。
狐は少女に問う。何故ここに来たのか。
少女は躊躇いながらも言葉を紡いだ。死に場所を選んでいるの、と少女が結ぶと狐は少々考え込んでから長い尾を揺らし、少女の顔を覗き込む。同じ琥珀色の瞳に射抜かれ、固まる少女。
やがて狐は満足気に喉を鳴らすと彼女に言う。自分を式神にしてはどうだろうか、と。
少女は暫し当惑していたが、狐の話を聞いて結局はその提案を受け入れた。狐はどうやら捜し物をしているようだった。
__幸せとは、その頂点とは何たるや?

これは"与えられし少女"の物語である。

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作者名:シルビア | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年12月2日 19時

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