episode42. ページ42
「手、握ってもいい？」
「ん、良いよ」
「ありがと」
温もりが俺の手を包み込む。
跳ね上がった鼓動には気付かれないように、視線をスクリーンに向けてふうっと息を吐く。
気持ちを落ち着けてからAを見ると嬉しそうな表情でパンフレットを眺めていた。
「えへへ……快斗と一緒に観られるなら楽しさ倍増だね」
「確かにな、ふふ」
すぐ側で揺れる彼女の髪の毛からは、ふわりと甘い香りが舞う。
つい最近付けたはずの首の痕はいつの間にか消えているようだ。またいつか付けられたらな、なんて。
甘い雰囲気に包まれながら、映画の上映が始まったのだった。
＊
「すげぇ面白かったな！」
「うん！でも、あの仕掛けは意外だったなぁ」
うーん、と感心したように唸るA。
彼女もどうやら最後まで仕掛けが解けなかったらしい。
さすが伝説のマジシャン、なんて。
同じく感想を口にする雑踏の波を2人でくぐり抜け、開けたところに出て安堵の息を吐く。
ふと腕時計に視線を投げたAが目を丸くした。
「わ！もう4時かぁ」
「あっという間だな」
「そうだね〜……」
4時、とだけ聞けばまだ早いと思いがちだが、出口のガラス越しに空を見やると既に陽が傾きかけていて空が鮮やかな紅へと彩られていた。
そういえば少し前にも、彼女とこんな空を見上げたっけ。
「今日はありがとう、快斗」
そう言って微笑みかける彼女に「こちらこそ」と返すと、愛しそうにきゅっと目を細める。
「またしような、デート」
「うん！」
力強く頷く彼女の表情はキラキラしていた。
そんな表情が、俺は大好き。
甘い輝きを秘めた碧い瞳が、透き通った栗色の髪が、俺を魅了する。
やはり容姿の優れている彼女は周囲から視線を集めるのか、すれ違った同年代と思われる男子は皆何度か振り返っていた。
「そろそろ暗くなるから、帰るか」
「……ん」
手を差し出すと少し残念そうに眉尻を下げながらもそれをきゅっと彼女が握り返す。
今日は本当に、一日が一瞬のように感じた。
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シルビア-Silvia-(プロフ) - つばき-tubaki -さん» ありがとうございます！！！自分でも書いてて叫びそうになりながら頑張りました(？)お褒めの言葉嬉しすぎます……！頑張りますね！ (2019年6月9日 17時) (
レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
つばき-tubaki - - シルビアさんもHoneyWorks さんが好きなんですね私もです！！！アリサちゃんのセリフが出てきた時嬉しくて叫びました（笑）。Honey Works さんみたいに面白いです！更新頑張って下さい！ (2019年6月9日 17時) (レス) id: 4f1f916ec6 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 天音さん» そうです！！！アリサちゃんのそのセリフが可愛すぎてどこかで使えないかなぁと思って入れました笑HoneyWorksさん大好きなんですよ……！！ありがとうございます、更新頑張りますね！！ (2019年6月8日 23時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 恋人になったんですね！ずっといつ告白するのかハラハラしてました。あの、もしかしてepisode41の「好きすぎて、やばい」ってHoneyＷorksさんの「生意気ハニー」の高見沢アリサちゃんの台詞ですか？（違ったらごめんなさい）更新頑張って下さい（長々とすみません）。 (2019年6月8日 22時) (レス) id: d5e2e87506 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 美紅さん» お褒めの言葉ありがとうございます〜！これからもドキドキさせられるよう頑張りますね笑 (2019年5月1日 15時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
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