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episode41. ページ41

「いいの?本当に着ちゃって」
「全然。俺は別に寒くないからさ」

渡された上着に腕を通し、フードをそっと被るとふわりと落ち着く香りが鼻をくすぐった。
快斗の香りだ、なんて。
まだ残っている体温にドキドキする。

「で、こうすれば……」
「えっ、」
「……寒くねーだろ?」

快斗の手が、私の手に触れる。
そのまま絡められる指からは心地良い温もりが伝わってくる。
この時間が、この瞬間が、いつまでも続いてくれれば良いのに__
"好き"が溢れてしまいそう。

「……ずるい」
「ずるい?」
「好きすぎて、やばい」
「へ、」

精一杯の声を振り絞った呟きは小さな声になってしまったけれど、どうやら本人は聞いていてくれたようだった。
快斗が空いた片手で顔を覆い、天を仰ぐ。
その手の隙間からは紅く染まった頬がのぞいていて、ポーカーフェイスが崩されている。

「いきなり言うなよ……んなこと」
「こんなに好きにさせた、快斗が悪い」
「……ばーろー」

きゅ、と手を握られる力が少し強くなる。
お互いの頬は紅く染まっていて、話そうにもまともに言葉を交わしているようでは心臓が爆発してしまいそうだ。
初々しいカップル、そんな感じ。


「映画でも観るか?」
「快斗が良いなら観たい!ちょうど観たいやつがあったんだよね〜」
「お、奇遇じゃん。俺も観たいやつあるんだけど」
「ちなみにどれ観たいの?」

「せーの」の合図と同時に2人が指さしたのは同じ映画で、お互いに目を丸くする。
この話の主人公は世界的に有名だった伝説のマジシャン。その生涯を描いた物語だけれども、波乱万丈な日々がすごく面白そうだった。

「決定だな」
「あは、一瞬で決まったね」
「まさか同じとは思ってなかった」
「んね……さすが」

2人で顔を見合わせ、笑う。

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シルビア-Silvia-(プロフ) - つばき-tubaki -さん» ありがとうございます!!!自分でも書いてて叫びそうになりながら頑張りました(?)お褒めの言葉嬉しすぎます……!頑張りますね! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
つばき-tubaki - - シルビアさんもHoneyWorks さんが好きなんですね私もです!!!アリサちゃんのセリフが出てきた時嬉しくて叫びました(笑)。Honey Works さんみたいに面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 4f1f916ec6 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 天音さん» そうです!!!アリサちゃんのそのセリフが可愛すぎてどこかで使えないかなぁと思って入れました笑HoneyWorksさん大好きなんですよ……!!ありがとうございます、更新頑張りますね!! (2019年6月8日 23時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 恋人になったんですね!ずっといつ告白するのかハラハラしてました。あの、もしかしてepisode41の「好きすぎて、やばい」ってHoneyWorksさんの「生意気ハニー」の高見沢アリサちゃんの台詞ですか?(違ったらごめんなさい)更新頑張って下さい(長々とすみません)。 (2019年6月8日 22時) (レス) id: d5e2e87506 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 美紅さん» お褒めの言葉ありがとうございます〜!これからもドキドキさせられるよう頑張りますね笑 (2019年5月1日 15時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Silvia | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年3月20日 14時

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