白黒パレット【怪盗キッド/黒羽快斗】

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「マジックは"あらため"が基本でしょう？だから、それまでの過程でいかに準備をしているかが重要なんだよ」
「じゃあ、俺が下のカードに気を取られてる間に上で何かしてたってわけか」
「うん、そういうこと！」

しかも俺がすることを読んでこのカードを忍ばせたのか＿＿？
彼女のマジックは予想の1枚、いや2枚以上上をいく。いつもそうだ。

「マジックだとお前には適わないな」

肩を竦めてみせると「そんなことないよ」と優しく微笑んでスマホを取り出し、あるニュース記事をスクロールして俺に見せる。

「これも、これも……これも。観客を楽しませられる、独特な発想のマジックができるのは快斗の方だよ！私、もともと型があるものからじゃないと考えられないからさ」
「俺の、マジック……」
「うん。快斗のマジック、私は大好きだよ。実際に尊敬してたんだから」
「ふふ、ありがとな」
「……ん」

照れ隠しか、巻いていたマフラーを鼻のあたりまで引っ張り上げるA。
鼻の頭が少し赤くなっていて、見るからに寒さがうかがえる。

「寒い？」
「ん、少し……」
「じゃ、適当にショッピングセンターとかに入るか？そこなら暖房きいてるだろうし」
「そうだね。そこなら飲食店も充実してそう」
「よし、決まりな」

着ていた上着を脱ぎ、「寒いなら着てろよ」と掛けてやる。
ありがとう、と笑ってそれを着た彼女の頬は少しずつ赤みが差してきていた。

「あったかい……」
「だろ？一応男物だからサイズ少し大きいかもしれねーけど、そこは勘弁な」
「そんなことで怒ったりしないよ〜」

少し眉尻を下げながら笑う。
一回り大きい俺の上着を着ている彼女には、何かそそるものがあって。
……彼シャツ、なんて単語がふと頭をよぎった。

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