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episode33. ページ33

「夕飯〜」

ふわ、と鼻を刺激する食べ物の香り。
出汁と……煮物?
急激に食欲がそそられる。
キッチンに立っておたまに少しだけ口を付けていたAがこちらを振り返り、ぱっと顔を輝かせた。

「丁度良かった!今温め終わったところ……簡単なやつばっかりでなんかごめんね?」
「全然。すげー美味そうじゃん」
「口に合うかな、ふふっ」

椅子に腰掛けながら話しかけていた俺の手前に、ご飯と味噌汁と煮物がそっと置かれる。
不安そうに瞳を揺らす彼女。
丁寧に切られた野菜に箸をつけ、1口かじって驚いた。味の染み具合が絶妙。

「……うっま」
「ほんと?良かった!」

素直な感想を口にすると、安堵の息を吐いて彼女が笑顔になる。
そういえばAの手料理を食べるのは初めてだった。箸を進める俺を見る瞳は優しい光が瞬いている。
いいお嫁さんになるな、なんて。


「ごちそうさま、すっげー美味かった」
「どういたしまして!そう言ってもらえると嬉しい、ありがとね」

微笑むと、微笑み返してくれる。
夕飯、気に入ってもらえてよかったな。
お皿を洗いながら口元を緩めた。
さっさと食器を片付けてリビングに入ると、快斗がソファに座ってテレビを見ていた。その隣にそっと腰掛けると一瞬驚いたような顔をするもその状態を受け入れてくれた。
ふと、快斗がテレビの電源を落とす。

「A」
「ん?何?」
「前、好きなやつが居るって言ったろ?」
「……うん」
「知りたい?」

突然の切り出しに、どきっとする。
知りたいけど、知りたくない……かも。
そんな心情を知ってか、ふっと快斗が微笑んで私の頬を撫でる。

「じゃあ、ヒントだけ……」
「ん、いいよ」


*


*


「__ヒント、その1。今俺の目の前に居る人」

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シルビア-Silvia-(プロフ) - つばき-tubaki -さん» ありがとうございます!!!自分でも書いてて叫びそうになりながら頑張りました(?)お褒めの言葉嬉しすぎます……!頑張りますね! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
つばき-tubaki - - シルビアさんもHoneyWorks さんが好きなんですね私もです!!!アリサちゃんのセリフが出てきた時嬉しくて叫びました(笑)。Honey Works さんみたいに面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 4f1f916ec6 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 天音さん» そうです!!!アリサちゃんのそのセリフが可愛すぎてどこかで使えないかなぁと思って入れました笑HoneyWorksさん大好きなんですよ……!!ありがとうございます、更新頑張りますね!! (2019年6月8日 23時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 恋人になったんですね!ずっといつ告白するのかハラハラしてました。あの、もしかしてepisode41の「好きすぎて、やばい」ってHoneyWorksさんの「生意気ハニー」の高見沢アリサちゃんの台詞ですか?(違ったらごめんなさい)更新頑張って下さい(長々とすみません)。 (2019年6月8日 22時) (レス) id: d5e2e87506 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 美紅さん» お褒めの言葉ありがとうございます〜!これからもドキドキさせられるよう頑張りますね笑 (2019年5月1日 15時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Silvia | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年3月20日 14時

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