episode26. ページ26
「な、何してくれてるの!?しばらく髪の毛切れないじゃん!」
髪の毛を片方に流し、痕を指さしてむっと頬を膨らませるA。
予想外の事実に「お?」と聞き返す。
「髪の毛、切るつもりだったのか?」
「そうだよ!結構長かったからそろそろ少し切ろうかな〜って思ってたの!」
「へぇ……」
生まれつき軽くウェーブのかかっている髪は、彼女のチャームポイントの1つだろう。
まだ状況を飲み込めないらしく、手を腰に当てたAが痕を指でなぞる。
「いくら幼馴染だからって、あんな無防備にソファで寝てたら襲いたくなるっての……ちょっとした戒めだよ」
「そんなの今更すぎない?私、快斗の前だとずっとこんな風なんだけど」
「俺だからそれで止めておいたけど、他のやつの前でそういうことはするなよ」
「快斗の前なら、いいの」
「多少はな?襲わないって保証はねーけど」
「……そ」
ふう、と小さく息を吐いた彼女が俺に体重を預ける。言ったそばからこいつは、と思いながらもまだ水分の飛びきっていない髪を撫でると、くすぐったそうに目を細めた。
急にデスクの上のパソコンの電源が入り、画面には幼い頃に見覚えのある顔が映る。
「あら、快斗君!久しぶり〜」
「え、快斗がそっちに居るの?」
それだけなら良かった。
聞き覚えのある呑気な声に、Aと二人揃って「げえっ!」と声を漏らす。
画面の向こうに居るのは彼女の母親と、俺の母さんだ。
「お、お母さん!?」
「母さんまで……」
慌てて片方に流していた髪を両方に戻し、痕を隠すA。彼女の母親が腕を組みながら俺と彼女を交互に見つめて微笑む。
「相変わらず、快斗君にべったりみたいね!」
「良いじゃん、別に……」
「快斗もAちゃんに何かしちゃダメよ?」
「しねーよ、んなこた!」
呆れ気味にそう返すと、Aにジト目で「嘘つけ」と言わんばかりの視線を投げられる。
苦笑しながらそれをスルーし、何やら俺達の話題に花を咲かせている2人は諦めてこっそり電源ボタンに手を伸ばすと「快斗」と呼び止められる。
どうやら母さんには気付かれたようだ。
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シルビア-Silvia-(プロフ) - つばき-tubaki -さん» ありがとうございます!!!自分でも書いてて叫びそうになりながら頑張りました(?)お褒めの言葉嬉しすぎます……!頑張りますね! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
つばき-tubaki - - シルビアさんもHoneyWorks さんが好きなんですね私もです!!!アリサちゃんのセリフが出てきた時嬉しくて叫びました(笑)。Honey Works さんみたいに面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 4f1f916ec6 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 天音さん» そうです!!!アリサちゃんのそのセリフが可愛すぎてどこかで使えないかなぁと思って入れました笑HoneyWorksさん大好きなんですよ……!!ありがとうございます、更新頑張りますね!! (2019年6月8日 23時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 恋人になったんですね!ずっといつ告白するのかハラハラしてました。あの、もしかしてepisode41の「好きすぎて、やばい」ってHoneyWorksさんの「生意気ハニー」の高見沢アリサちゃんの台詞ですか?(違ったらごめんなさい)更新頑張って下さい(長々とすみません)。 (2019年6月8日 22時) (レス) id: d5e2e87506 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 美紅さん» お褒めの言葉ありがとうございます〜!これからもドキドキさせられるよう頑張りますね笑 (2019年5月1日 15時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
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