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episode22. ページ22

周囲を横切り、ビルの影へと姿を消す月下の奇術師さんに周囲がどよめいた。
予告したショーがこれだけだとでも思ったのだろうか、と陰で嗤う。
__刹那、小さな爆発音と共に煙幕が消え、怪盗キッドが現れた。
観客達が大きな歓声をあげる__それもそのはず、彼は宙に浮いているのだ。

「浮いてる、……!?」

ふと隣の男性がこぼす。
これも快斗のアイディアが功を奏したのだろう。
後でこのことを言ってあげようかな、とも思ったが止めることにしよう。どうせ自画自賛の声が止まないだろうから。

その場の人間は、皆空に視線が釘付け。
大きく咳払いをし、「Ladies,and gentlemen!」なんて言った暁には黄色い声が飛び交っていた。
群衆に紛れ込みながら車にそっと視線を向けると眼鏡の少年が飛び出していくのが見える。

「コナン君がビルに走っていったよ。予想通り、トリックはそっちにあると思ったみたい」
「__」

返事はない。まあ、話すわけにもいかないだろう。
空中を悠然と歩く彼に視線を向けると、一瞬こちらを見て小さく頷く。
私も頷き返し、計画の成功を確認する。
録音した靴音はちゃんと合ってるか、など。

歩くこと、2〜3分。
淡い月光をスポットライトに歩みを進めていたキッドが急に足を止め、不敵な笑みを浮かべた。「下調べ通りだよ、サンキュな」とインカム越しに聞こえ、「どういたしまして」と返す。

「では明晩20時、再び同じ場所でお会いしましょう」

帽子をとり、丁寧にお辞儀をするキッド。
煙幕によって姿を消したのを確認してから、落下してきた白いマントとシルクハットを回収すべく足を進める。
驚く人が居れば、忌々しげに空中を睨みつける人も居る。各々で違う感想を口にする彼らを押し退け、隙を見てマントとシルクハットを回収した。
インカムから快斗の自画自賛の声が聞こえる。やっぱりね、と呆れながらも少し嬉しい自分が居た。

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シルビア-Silvia-(プロフ) - つばき-tubaki -さん» ありがとうございます!!!自分でも書いてて叫びそうになりながら頑張りました(?)お褒めの言葉嬉しすぎます……!頑張りますね! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
つばき-tubaki - - シルビアさんもHoneyWorks さんが好きなんですね私もです!!!アリサちゃんのセリフが出てきた時嬉しくて叫びました(笑)。Honey Works さんみたいに面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 4f1f916ec6 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 天音さん» そうです!!!アリサちゃんのそのセリフが可愛すぎてどこかで使えないかなぁと思って入れました笑HoneyWorksさん大好きなんですよ……!!ありがとうございます、更新頑張りますね!! (2019年6月8日 23時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 恋人になったんですね!ずっといつ告白するのかハラハラしてました。あの、もしかしてepisode41の「好きすぎて、やばい」ってHoneyWorksさんの「生意気ハニー」の高見沢アリサちゃんの台詞ですか?(違ったらごめんなさい)更新頑張って下さい(長々とすみません)。 (2019年6月8日 22時) (レス) id: d5e2e87506 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 美紅さん» お褒めの言葉ありがとうございます〜!これからもドキドキさせられるよう頑張りますね笑 (2019年5月1日 15時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Silvia | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年3月20日 14時

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