白黒パレット【怪盗キッド/黒羽快斗】

episode29. ページ29

「お姉さん、もしかして留学してたりする？」
「よく分かったね！つい最近までイギリスに留学してたんだ〜！でも、何で？」
「普通、初対面の店員さんにあいさつを返すことってしない人が多いでしょ？でもイギリスとかその周辺の地域はあいさつをきちんと返す習慣があるからなんとなく」
「すごい！ホームズみたいだね」

そう言うと、「ホームズ知ってるの！？」と目を輝かせるコナン君。
この部分だけ見ると本当にただの子供だ。

「うん、知ってるよ。お母さんの従姉妹の息子さんがホームズ大好きだったからね……」
「従姉妹の息子さん？」
「そう！工藤新一君って言うの。その新一君には小さい頃に会ったことがあって、そこでホームズについて色々と教えてもらったんだ〜。この髪はその母親の有希子さんと同じ遺伝だよ」

はっとコナン君が目を見開く。
彼も工藤君の知り合いなのだろうか。

「新一兄ちゃんの親戚なんだ！どおりで母さ……有希子お姉さんに似てると思った！」
「新一兄ちゃん？工藤君のこと？」
「うん！僕も新一兄ちゃんの親戚なんだ」
「そうなんだ、一緒だね！何かの縁かも？」

快斗＿＿怪盗キッドが警戒する程の頭のキレは遺伝したのかな、なんて。
コナン君とはホームズの話でしばらく盛り上がり、気が付けばあっという間に1時間。

「あ！そろそろ私、行かなきゃいけない所があって……」
「そうなの？わかった！またホームズの話しようね、Aお姉さん」
「もちろん！機会があったら、ぜひ」

軽く手を振って席を立ち、お勘定を済ませて店から出る。
ちりんちりん、と澄んだ鈴の音が響いた。

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