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▼6話 ページ9

「そういや思ったんだけど、オメーが言ってた専門店ってつい1ヶ月くらい前にテレビで特集されてたアレか?」


俺の質問に「うん?」と首を傾げるA。
違うと思うけど、と彼女にしてはやけに断定口調で続け、迷う素振りも見せず路地裏へと入っていく。


「少し見つけにくいところだし、開いたのがそもそも一週間前だからね〜」
「…なんでそんな、」
「だって何回も行ったことあるもん」
「誰とだよ?しかもそのたったの一週間で?」
「さあ、誰とでしょうか?…まぁ何回か一人でも行ったけど」


「まず彼氏のセンは論外で」と呟くと「ひっど!」と彼女が笑う。「だってオメー彼氏居ねーだろ」少し踏み込んだ質問を投げかけると「…余計なお世話」と肯定としかとりようのない返事が返ってきた。
ずっとこんな距離感なので、彼女には俺以外の男子と接する機会が極めて少ない。もし仮にその隣が埋まったとしても、俺が見逃す筈がない。こう見えて、彼女は隠し事ができない性格だと知っているから。


「快斗こそ、彼女居ないでしょ」
「俺は居ないんじゃなくて作らねーの」
「じゃあ誰か彼女にしたい人は居るんだ?」
「オメーは?」
「私?秘密」


さりげなく持ちかけた駆け引きは失敗に終わる。
ずっとこうだ。望んだものは何だって手に入れられたのに、彼女だけはどうしても手に入らない。浅いようで深い溝はいつか埋まる日が来るのだろうか。
お互いに思わせ振りな態度はたくさんとるくせに、たった二文字が言えなくて。
今年も言いそびれたな、なんて後悔するのだ。


「着いたよ?」
「え?あ、ああ…」


顔を上げると少し洒落たデザインの店が小ぢんまりと佇んでいた。ガラス張りの壁越しに見えるショーケースの中には、少しずつ色に違いがあるもののチョコレート色のアイスクリームが所狭しと並んでいる。
飾ってあるメニューを覗き込んで「快斗はどれにするの?」と黒髪を揺らしてAが俺に振る。
「これだな」メニューを指先で軽く叩くと「こんなに苦いやつでいいの?珍しいね」と目を丸くする彼女。


「今は苦いのが食いてー気分なんだよ」
「何それ?」
「もう充分あめーから」
「…もっとよくわかんないんだけど」


「オメーはまだ知らなくていーんだよ」言いながら把手を引くとカランとベルが小さく鳴る。「ま、快斗と一緒に来られたからいっか」と笑う彼女に鼓動が甘く弾んだ。

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Silvia(プロフ) - 怜さん» わ!!!2年前にもコメントしてくださった方ですよね…!?本当に嬉しいです、見てくださってありがとうございます〜!!ゆっくりにはなってしまいますが、更新はし続けるつもりなのでこれからもお付き合いいただけると幸いです! (5月14日 8時) (レス) id: b3d15ce9d9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 通知きて叫びました、、更新ありがとうございます!!!お忙しいかと思いますがぜひこれからもお話書いていただけたら嬉しいです( ; ; )応援しています!! (2023年5月6日 1時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Silvia(プロフ) - 怜さん» うわああぁありがとうございます!!!好きって言っていただけて嬉しいです!がんばります:) (2021年5月19日 15時) (レス) id: a80726cefa (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - この作品とっても好きです!!これからも頑張ってください! (2021年5月19日 15時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Frisk(プロフ) - シルビア-Silvia-さん» 振り込むって時点で金なんだよなぁ…絶対破壊光線期待してます。 (2021年1月16日 12時) (レス) id: 83e488319f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Silvia | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年3月22日 10時

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