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▼37話 ページ40

__結局、闇は静かに俺の家を包むと足早に去っていった。アラームの音にびくりと背を跳ねさせ、画面に表示された「停止」の文字をタップする。
何も起こらなかったのだ。安堵と脱力感とほんの僅かな怒りがぐちゃぐちゃに混ざり、ため息。ゆるりと立ち上がるとハンガーから外したワイシャツを羽織り、ボタンを閉めながら洗面所へ。窓の隙間から洩れる寒気がちくちくと頬を刺した。

鏡を覗けばうっすらと浮き上がる青い隈。タオルで顔を拭って踵を返すと変装道具の入ったポーチを探ること数分。引っ張り出したメイク用品で隈を隠すとインターホンが来客を告げた。


「かぁいとぉ!!置いてっちゃうよ!」


青子の声__タイムリミットだ。どうやら思っていた以上に時間は俺を置いて進んでいたらしい。
朝飯はおろか、髪のセットすらしていないが、高校までの道のりは短いとは少し言い難い。
仕方ない、と呪文のようにこぼしながら学ランの袖に腕を通すと鞄を後ろ手に引っ掴む。遅刻していっても別に良かったが、今はなんとなく隣に誰かいてほしかったのだ。


「わ、珍しいね快斗。寝坊したの?青子が起こしてあげたじゃない」
「へ?…ンなこと」
してねぇよ、と言いかけてその言葉を飲み込んだ。小さな漠然とした違和感が、まるで魚の小骨のように喉につっかえる。
「…………っああ、そうだったな。わり」
苦笑混じりに誤魔化すと「もー快斗ってば、しっかりしてよね」と頬をふくらませる青子。彼女が溜まっているメッセージを返し始めた隣で、脇腹を肘で軽く小突かれた。視線を落とせば人差し指を立てたAが小さな紙袋を手渡してくる。


「昨日作ったお菓子。よかったらどうぞ」
「…マジで?いーの?」
「うん。作り過ぎちゃっただけだから、ね?」
「サンキュ」
「いえいえ〜」
ふふ、と満足気に笑って青子がこぼし始めた愚痴に応じるA。所謂"棚ぼた"をくらった俺は、緩んでしまう口元を手の甲で隠しながら紙袋を鞄の中にしまった。

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Silvia(プロフ) - 怜さん» わ!!!2年前にもコメントしてくださった方ですよね…!?本当に嬉しいです、見てくださってありがとうございます〜!!ゆっくりにはなってしまいますが、更新はし続けるつもりなのでこれからもお付き合いいただけると幸いです! (5月14日 8時) (レス) id: b3d15ce9d9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 通知きて叫びました、、更新ありがとうございます!!!お忙しいかと思いますがぜひこれからもお話書いていただけたら嬉しいです( ; ; )応援しています!! (2023年5月6日 1時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Silvia(プロフ) - 怜さん» うわああぁありがとうございます!!!好きって言っていただけて嬉しいです!がんばります:) (2021年5月19日 15時) (レス) id: a80726cefa (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - この作品とっても好きです!!これからも頑張ってください! (2021年5月19日 15時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Frisk(プロフ) - シルビア-Silvia-さん» 振り込むって時点で金なんだよなぁ…絶対破壊光線期待してます。 (2021年1月16日 12時) (レス) id: 83e488319f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Silvia | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年3月22日 10時

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