▼29話 ページ32
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突然だが、この気の休まらない日常に気分転換は必要だと思う。そんなに大それたものでなくてもいい。軽く運動したりだとか、普段食べないような少しだけ高めのものを食べてみたりだとか。
裏稼業で慌ただしい日常を送っている俺はどうなのだという話だが、彼女と過ごしている以上毎日が気分転換のようなものなのでその話は割愛する。
起きて、学校に行って、適宜食べて、寝る。
いざ文字に起こせばそれこそ単純だが、高校生にとってはそれすら保つのが精一杯。俺の場合はそこに下見や裏稼業が入ってくるので、自覚は無いが身体にはかなり負担がかかっていると思っている。
普段は倒れ込むように寝てしまう俺だったが、何故か今日は何度も目が覚めてしまった。強烈な眠気に意識が飛びそうになるのだが、そこでぷつんと夢への路が断たれてしまう、とでも言うべきか。
「＿＿まさかもう起きてねぇよな、あいつ」
スマホを手繰り寄せると傾きを感知したのか、すっかり夜の帳が降りた暗闇の中にぼうっと液晶が青白く浮かび上がった。表示される時刻は既に深夜帯。
下穿きに触れていた手を引っ込め、気付けば電話帳を呼び出して愛しい名前を指でなぞっていた。
スピーカーから流れてくる無機質な呼出音とは似もつかず、俺の心臓はバクバクと激しい鼓動を刻む。
こんなに緊張しているのはいつぶりだろうか。そんなことを考えていると不意に呼出音が途切れ、「快斗？」と相変わらぬメゾソプラノが鼓膜を甘く擽った。ひゅ、と息を呑む。
「どうしたの？こんな時間に」
「……あぁわりぃ、大した用事じゃねぇんだけど」
「寂しくなった？」
「ンなんじゃねーよ、いくつだと思ってんだ。ただ寝られねぇだけ」
ふ、と笑うと「だと思った」と彼女も笑う。
どっと身体の力が抜けて、自然とため息が出た。
「繋いでていいよ」という言葉に甘えてスピーカーホンに切り替え、スマホを枕元に置いて身体を丸める。
通話を繋ぐとはいっても特にそれといった会話も無く、時折紙を捲る音が聞こえるだけ。何してんの、と訊くと読書、と返事があった。
本当にそれだけなのに、嘘みたいに心が落ち着いて。
隣に彼女が居るような気がして、そっと手を伸ばす。案の定、その手は虚しく空を切った。ぱたりとそのまま手を降ろすと掌が掛け布団に沈む。
スマホの外縁に触れていると、「そうだ」と彼女が言う。どうやら何か思い付いたようだった。
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Silvia(プロフ) - 怜さん» わ！！！2年前にもコメントしてくださった方ですよね…！？本当に嬉しいです、見てくださってありがとうございます〜！！ゆっくりにはなってしまいますが、更新はし続けるつもりなのでこれからもお付き合いいただけると幸いです！ (5月14日 8時) (
レス) id: b3d15ce9d9 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 通知きて叫びました、、更新ありがとうございます！！！お忙しいかと思いますがぜひこれからもお話書いていただけたら嬉しいです（ ; ; ）応援しています！！ (2023年5月6日 1時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Silvia(プロフ) - 怜さん» うわああぁありがとうございます！！！好きって言っていただけて嬉しいです！がんばります:) (2021年5月19日 15時) (レス) id: a80726cefa (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - この作品とっても好きです！！これからも頑張ってください！ (2021年5月19日 15時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Frisk(プロフ) - シルビア-Silvia-さん» 振り込むって時点で金なんだよなぁ…絶対破壊光線期待してます。 (2021年1月16日 12時) (レス) id: 83e488319f (このIDを非表示/違反報告)
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