▼14話 ページ17
しっかり練られた肉だねに炒めた玉ねぎ、牛乳に浸したパン粉、溶き卵を加えてまた練り始める。
少し時間のかかる作業だけれど、重要なものだから手を抜かずに行っていく。ここのところ疲れている幼馴染に"美味しい"と言ってほしいから。
我ながらすっかり慣れた手つきである。
テレビに目を向けると中継も終盤に差し掛かっているところだった。返却された宝石を手に、眼鏡をかけた少年が苦笑しながら質問に答えている。
「キッド、キラー…」
話に出た慣れない単語の組み合せを噛み砕き、「キッドの天敵かぁ」と驚く。まさかあの小学生が怪盗と渡り合っているなんて。
小学生って何だったっけ。今の小学生は皆こんな感じなのだろうか？…いや、彼が例外なのだろう。
手に油を塗り、練り終えた肉だねを両手で投げ合うように往復させながら空気を抜いていく。
小さい頃は手伝いでこの作業をするときにお肉を投げちゃって、お母さんに笑われたっけ。今はどうやら簡単に会えないらしいけれど、こういう生活の折々に思い出があるから少しは寂しさが和らいでいる。
「…さてと」
フライパンにもう一度油をひき、火をつけてそれが温まるのを待つ。その間に肉だねの形を整えて、温まったフライパンの上にそれらを並べていく。大きい方が快斗ので、小さい方が私の。
彼は男の子だし、ただでさえお腹を空かして来るだろうから、その気になればかなり食べられるだろう。聞いたところによると、あんなにすらっとしていて整った体型なのに痩せる努力は一切していないらしい。一生に一度は言ってみたい言葉である。
そういえば去年の文化祭でメイド喫茶をやったとき、人手不足で彼が女装すると言い出したことがあった。客もまさかメイドに男子が一人紛れ込んでいるなんて気付きもせず、終いには彼が何も知らない他クラスの男子にナンパされてしまう始末。
それだけ女の子と見間違えられかねない華奢な体格の彼だが、私が日直で重い荷物を持っていたときにそれをひょいと持ち上げて代わりに運んでくれたときは流石に男女の力の差というものを感じた。
「俺は男で、オメーは女なんだから」彼のその言葉がずっと頭から離れなかった。あの日に続いたのは「一人で抱え込まなくていーの」という思わず心臓を握られるような甘い一言だったが、今現在それに続くのは言外に少しアレなニュアンスを含めているであろう忠告的なものである。
はたして彼が変わったのか、それともあまりにも私が変わらないままなのか。
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Silvia(プロフ) - 怜さん» わ！！！2年前にもコメントしてくださった方ですよね…！？本当に嬉しいです、見てくださってありがとうございます〜！！ゆっくりにはなってしまいますが、更新はし続けるつもりなのでこれからもお付き合いいただけると幸いです！ (5月14日 8時) (
レス) id: b3d15ce9d9 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 通知きて叫びました、、更新ありがとうございます！！！お忙しいかと思いますがぜひこれからもお話書いていただけたら嬉しいです（ ; ; ）応援しています！！ (2023年5月6日 1時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Silvia(プロフ) - 怜さん» うわああぁありがとうございます！！！好きって言っていただけて嬉しいです！がんばります:) (2021年5月19日 15時) (レス) id: a80726cefa (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - この作品とっても好きです！！これからも頑張ってください！ (2021年5月19日 15時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Frisk(プロフ) - シルビア-Silvia-さん» 振り込むって時点で金なんだよなぁ…絶対破壊光線期待してます。 (2021年1月16日 12時) (レス) id: 83e488319f (このIDを非表示/違反報告)
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