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「じゃあ帰りましょ！」明るくも残酷な言葉を紡ぎ、母さんが俺の手を引いて歩き出す。…残酷？なんで俺は帰ることが残酷だと思った？分からない。
そんな想いとは裏腹に、頭ではここに居てはいけないとひとり歩きで結論づけてしまう。
初対面の少女ともう少しここに居たいと言うのか。特別言葉を交わしたわけでも一緒に遊んだわけでもないのに。
親父は洋館に視線を送り、その端正な顔に何やら意味深な笑みを浮かべていた。
「もう少しここに居たい」と駄々をこねてこの場に居座ることも可能だったが、幼心ながらにその願いは胸の奥に留めておいた方がいい気がして。
「……ん」
素直に顎を引き、歩幅を合わせてくれている両親の間に飛び込んでみせる。大好きな二人と片手ずつ繋ぎあって、たわいの無い会話でたくさん笑った筈なのに、あの少女のことがずっと頭から離れない。激しい動悸の原因も、呼吸をすることを忘れてしまった原因も、それであることは明白なはずなのに。
「何かあったのかい？」悪戯な光を瞳に浮かべて親父が俺を見る。曖昧に言葉を濁らせながらぶんぶんと頭を振って胸中の釈然としない気持ちを振り払い、にこりといつもと相変わらない筈の笑顔を浮かべた。
＊
「今日も居ない、か……」
＿＿あれから毎日洋館に足を運ぶことが、いつしか俺の日課になってしまっていた。
少女はあの日から1週間ほど姿を見せていない。かと言って冷めてしまうかと問われたら否だ。いつでも瞼を閉じれば彼女の横顔を思い出すだけで鼓動が速くなり、呼吸も荒くなる。
何故かは分からなかったけれど、彼女に会えばその理由が分かる気がして。
親に頼んで直接訪ねに行くこともできたのだが、この衝動を打ち明けるのに気後れすると同時に妙なバツの悪さが胸中を引っ掻き回すのだった。
「……あ！」
ガチャ、と軽快な音。開いた扉の隙間からは純白がちらりと覗いていた。くりくりとした愛らしい紫紺の瞳が俺を捉え、見開かれる。
その手に抱えられているのはカバーのかかった小さな本、文庫本だろうか。
ぱたぱたと駆け寄ってくる彼女に何か掛ける言葉は無いものかと考えを巡らせたが、咄嗟に気の利いた言葉が何一つ浮かばなかった。息を呑む俺を見据え、ふわりと笑ったかと思うと、「久しぶりだね！」甘いメゾソプラノが小さな唇から紡がれた。
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Silvia(プロフ) - 怜さん» わ！！！2年前にもコメントしてくださった方ですよね…！？本当に嬉しいです、見てくださってありがとうございます〜！！ゆっくりにはなってしまいますが、更新はし続けるつもりなのでこれからもお付き合いいただけると幸いです！ (5月14日 8時) (
レス) id: b3d15ce9d9 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 通知きて叫びました、、更新ありがとうございます！！！お忙しいかと思いますがぜひこれからもお話書いていただけたら嬉しいです（ ; ; ）応援しています！！ (2023年5月6日 1時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Silvia(プロフ) - 怜さん» うわああぁありがとうございます！！！好きって言っていただけて嬉しいです！がんばります:) (2021年5月19日 15時) (レス) id: a80726cefa (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - この作品とっても好きです！！これからも頑張ってください！ (2021年5月19日 15時) (レス) id: abf0b4af80 (このIDを非表示/違反報告)
Frisk(プロフ) - シルビア-Silvia-さん» 振り込むって時点で金なんだよなぁ…絶対破壊光線期待してます。 (2021年1月16日 12時) (レス) id: 83e488319f (このIDを非表示/違反報告)
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