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33話*閑話休題 ページ35

「ひろ、にぃ・・・・・・ただいま」
「ん、お帰り、A」

ふわ、とひろにぃが笑う。
体の芯まで疲れきっていることを表情から察したのか、彼によって身体が宙に浮き、優しく食卓の前の椅子に降ろされた。

「夕飯、出来てるけど」
「お腹すいたぁ・・・・・・」
「仕事お疲れさん」
「ん、ありがと」

大きな手で頭を撫でられ、目を細める。
スプーンを口に運び「美味しい」と素直な感想を口にすれば、満足気に頷いて向かいの椅子に座った。
肘をつきこちらを見据えるのは、愉しそうに笑みを含んだ瞳。

「A」
「ん、なあに?ひろにぃ」
「異動先、楽しいか?」

頬にかかった髪に手を伸ばし、耳に掛けながらひろにぃが問う。
流れるようにされたその仕草に頬を染めながら髪をくるくると弄り、笑った。

「うん、楽しい。たまに沢山書類押し付けられたり危ない目に遭ったりで大変だけど、皆一緒に居て楽しい仕事仲間も出来たよ」
「そうか、良かった。・・・・・・あぁ、そうだ」

ぽん、と手を叩き、神妙な顔つきになる。
ひろにぃの視線を追うと、その先にあったのは警察学校時代の写真。
あ、と声を漏らす。

「明日、松田の命日なんだ。お前も来るか?墓参り」
「ん、行く!陣平さん、可愛がってくれたし」
「やっぱり、そう言うと思った」

実習で何日か警視庁に通ったとき、爆弾処理班から何故か捜査一課に移っていた彼は何だかんだで私に優しくしてくれていた。
たまに萩原さんも交えて食事に誘ってくれたり、現場から帰るときに飲み物を奢ってくれたり、とにかく沢山お世話になった人物である。

「天国で萩原さんと伊達さんと、上手くやってるのかな」
「さあな・・・・・・アイツらの事だから、仲良く騒いでるんじゃないか?」
「ふふ、そうだと良いね?」

思わず笑みがこぼれる。
つられたひろにぃも、口元を綻ばせた。

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シルビア-Silvia-(プロフ) - 黒武さん» 申し訳ないです!すぐ直させていただきます、ご指摘ありがとうございます!! (2019年4月23日 5時) (レス) id: 6380122d07 (このIDを非表示/違反報告)
黒武(プロフ) - 設定で29歳とありましたが、それだと安室さんと同い年になっていますよ...。諸伏さん登場の回で『年上なんだ』と言っていたので、夢主ちゃんの年齢はもう少し下だと...。 (2019年4月22日 23時) (レス) id: f0ec619330 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» あっごめんなさい……!!すぐ直します、ありがとうございます!! (2018年12月19日 21時) (レス) id: 6380122d07 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ珈琲(プロフ) - Please select a storyですよ(小声) serectじゃなくてselectですよ(こそこそ) (2018年12月19日 21時) (レス) id: 24c9be7e32 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア@快斗君神推し(プロフ) - 砂肝さん» 嬉しい感想ありがとうございます。嬉しいです、更新頑張ります! (2018年5月26日 16時) (レス) id: 6380122d07 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Silvia&愛子 x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年5月23日 19時

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