非日常と、ささやかな癒しを貴方に。【名探偵コナン】 (ページ38)

今日:27 hit、昨日:104 hit、合計:205,678 hit

＊episode なんちゃってOL？＊ページ38

ぽつり、ぽつりと雨が降り出した。

「････とまぁ、出て来たのは良かったけど」

出て来たホテルを仰ぎ、ふぅ、とため息を吐く。行くあてが無いことに気付き、大通りをふらふらと歩き出した。

ベルツリータワーに戻っても良かったが、蘭さんと顔を合わせるのが辛い。そのため、どこかいい民宿でも無いかと辺りを気にしながら歩いていた。

因みにそのままの姿では呆気なく見つかりそうだったために眼鏡をかけ、ワイシャツを着てOLっぽくしてみたつもりである。背は高い方なので、まあ違和感は無いだろう。

「姉ちゃん、一人だろ？」
「え････」

強く肩を掴まれ、振り向くとそこにはガタイのいい男が二人立っていた。そのまま間髪入れずに人目につかない路地まで連れて来られる。

「何をするつもりですか」
「俺たちと遊んでもらうんだよ。＿＿いいコト、しようよ」

背後の壁に片手を突かれ、ドンと音が鳴る。口元に笑みを浮かべ、男達を軽く睨んでから一人のネクタイを掴んで引き寄せた。

「良いけど････その代わり、泣き言言うなよ？」
「へ？」
「姉ちゃん、ノリがいいのは結構だけど････」

勢い良くそれから手を離し、よろけた男の鳩尾に拳を叩き込む。膝から崩れ落ちたその姿を見て、フンと鼻で笑った。

「あれ、楽しませてくれるんじゃなかったわけ？身体能力無いなあ」
「こんのアマ！」
「よっ、と････！」

飛び掛かってきたもう一人に回し蹴りを食らわせ、気絶させる。両手を払って路地を出ようと大通りへ踵を返すと、そこには快斗が立っていて。

「尾けてたの？」
「いや････少し、な」

あまり多くを語ろうとしない快斗に違和感が湧いた。頬を染め、視線を逸らしながら着ていた上着を私の肩にかける。

「その、透けてる････から。寒いだろ、さっさと着ろよ」
「さんきゅ」

受け取ったそれを躊躇なく着て、ジッパーを一番上まで上げた。ふわりと香る快斗の匂いに心臓が跳ね、体が温かくなり始める。

「んじゃ、どうしてこうなったか説明してもらおうか？」
「ん････」
「母さんが部屋をもう一つ、とってくれたから」
「行きます」