非日常と、ささやかな癒しを貴方に。【名探偵コナン】 (ページ30)

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＊episode 知らないから＊ページ30

「ダウンロード100%、カメラもマイクも正常通り作動っと････まあ細工は流々、後は結果をごろうじろってもんね」
≪了解≫

インカムからふふっと笑う声が聞こえた。プツリと切れた通信から展示ケースに意識を向け、僅かに口角を上げると後ろから声をかけられる。

驚いて振り向くとそこには少年探偵団の三人と疑わしげな目で見てくる工藤君、僅かに笑っているシェリーが立っていた。

「どうしたのですか？宝石を見ていた筈では」
「んーん、もう見終わったの！それより瑞希ちゃん、話していた相手って誰？敬語なしのほうがやっぱりいいよ？」
「敬語なし････これで良いの？」
「うん！それとね」

ごそごそとポケットから何かを取り出し、私の手のひらに乗せる。“DETECTIVE BOYS”と書かれたそのバッジは皆がつけているものと同じものだった。

「これ、あげる！瑞希ちゃんは少年探偵団のメンバーに決まったんだ」
「あ、ありがとう！」

本人の意思は関係ないんだ、と苦笑い。もう一度宝石を見てくる、と蘭さんがスカイデッキに登っていくのを見送り、変な胸騒ぎがしてインカムのスイッチを入れた。

「今、そっちに蘭さんが向かった。あ、手遅れだったね････は？んじゃあせいぜいいちゃつけば良いじゃない、私は知らないからね」
≪おい、ちょっ！≫

ブツ、と乱暴にスイッチを切り、パソコンの画面に視線を移す。快斗に付けておいた小型カメラから映像を傍受し、アップで映った蘭さんの顔に何やってんだこいつ、と怒りの感情を覚えた。

「何見てたの？」
「何でもないわ。さ、あなた達は戻って」
「え、瑞希はどこに行くんだよ？」
「秘密。ついてきても良いけど、殺されても知らないわよ。それと、私の存在は無かったことにしておいてくれる？」
「う、うん」

頷いた歩美ちゃんにありがとう、と微笑んで頭を撫でる。見つからないようわざと遠回りして立ち入り禁止の扉を開け、鉄骨や梯子などが張り巡らされた気嚢のある内部へと侵入した。