笑顔を盾に本音を隠す【名探偵コナン】

第047夜「Green Dream編」 ページ47

『まぁ！ あのガイア国のマルス王子が…』




頬を赤らめる王女に、召使いＡが口を開く。




『お、おやめください王女様！！
我が国とガイア国は敵同士！！ それが知られたら、どんな目にあうか…どうかお考え直しを……』




あ、恵さんの出番ですね！
いい感じです。……あの麗子さんが何もしなければいいのですが。

そんな私の願いは呆気なく散っていく。




『じゃあ。あなたら私の世界一の美しさを一生この国に閉じ込めておけばいいとおっしゃるの？』


『あ、あのわ、わ、私は別に…』




そして麗子さんは下がる様に命じると、恵さんはセットしてあった小道具にぶつかり花瓶を落として転けてしまった。




「なーんか、やな感じねあのヒロイン」


「だろ？」




中森さんもやっぱりそう思うのか口に出していた。

きっとあれはアドリブなんだろうな、本当に嫌な人だなと改めて思いながらも静かに劇を見ていた。


そしてシーンは変わり、舞踏会となる。




『おぉ、美しい人よ。願わくば我が妻に…』


『いけませんわ王子…私達は、会ってはならなに間柄。
どうしてもと言われるのなら、お見せ願いましょう。この美しい私への愛の証を』


『おぉ、そなたがそれを望むなら、さしあげよう
我が王家に伝わるグリーンドリームを！！』




そう言えば、怪盗キッドはいつ盗むのでしょう。

私がそう思った直後すぐ近くでピッという音が鳴ったのと同時にステージに複数のライトが出現した。




「ヤバッ」




私は咄嗟に目を瞑る。
まさか、警部の考えを逆手に取るなんて……流石怪盗キッドですね。

明るかった劇場は再び暗闇になり、ナレーションが始まった。
１人の女の人にスポットライトを当てながら。




『夜の鳩が落ち、月が傾き始めたその頃…舞踏会に出払って誰もいなくなった城に、王子に想いを寄せる１人の少女がいた。彼女の名は……「召使いＡ」！！』


『毎日の様に意地悪な王女にいじめられ、誰にも自分の想いを伝えられず、その小さな胸を痛め続けていた可憐な少女。そんな彼女の元に怪しげな１人の魔法使いが降り立った』




そう、ナレーションをしていたのは怪盗キッドで、恵さんの目の前に悠然と降り立った怪盗キッドは、恵さんの衣装をメイド服からドレスへ着替えさせると、右手に持っていた宝石を月に照らし、その宝石を恵さんの指に付けた。


　

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