笑顔を盾に本音を隠す【名探偵コナン】

第043夜 ページ43

１、２時間くらい工藤邸で新一くんとお話をした。

今は新一くんを、毛利探偵事務所まで送っている最中。




「毛利探偵事務所……今となっては有名ですね。新一くんのおかげ、かな？」

「俺は複雑だけどな」




ですよね。ご愁傷様です。

新一くんと話していると探偵事務所前まで着いていた。
あっという間な時間だった……。




「では、また。」




小さく手を振って新一くんに別れを言った。
新一くんも「じゃあな」といい手を振り返しては階段を駆け上がり“ただいまー！”と言っていた。

微笑ましいな、と思いながら私は帰路へつく。
私はスマホを取り出し黒羽くんにメールを送る。




「今帰っています、送信っと」




私がメールを送るとすぐ返信が返ってきた。
見るの早いな……




【了解！ 気をつけて帰って来いよー】


「はいはい」




返事のメールはせず、私は呟くように返事をすればスマホをポケットにしまう。

それにしても新一くんは大変そうだな、と改めて思う。
黒の組織の取引現場を目撃して、毒薬を飲まされて、背が縮んで、そして幼馴染の蘭さんの家に居候中。
しかもまた小学生に逆戻りだなんて……災難としか言えません。




「それにしても……」




久々に有意義な時間を過ごす事ができた気がする。

好きな本を読んで、新一くんや哀ちゃんと話をして。
話の内容は誰にも言えない事もあるけど、それでも久々にくつろげた気がする。
決して黒羽くんと居てもくつろげないとかではないですよ！？




「良い放課後になった、っという感じですかね」




夏休み前の期末テストが終われば、私の地獄がやって来る……。
海が、やって来る。
うん、やっぱり行くだけ行って、海に入らないっていう手にしましょう。そうしましょう。

だから水着は要らない。うん。




「行ける」




そんな感じで、私の中に変な自信が付いてしまった。

　

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