笑顔を盾に本音を隠す【名探偵コナン】

第018夜 ページ18

首を傾げて少年に問いかける。


「ボウヤ、誰？
なんで私の名前を知っているの？」


すると少年は焦り出した。
そう、まるで“ヤベッ…”と言いたげの顔を向けた


「あ、…えっ、と…、頼ぐ、むぐっ」


なぜこの少年からその言葉が出そうになったかはわからない。
だけど、その続きを言って欲しくない、頭で理解するよりも体が動き少年の口を手で押さえた。


「なぜそのタイミングでその言葉が出るかわかりませんが、ボウヤは一体何者ですか？
その言葉を知っているのはごく一部。…つまり、私のごく一部の人間ということになる。そしてそのことを知っているのは新一くんだけ……もしかしてキミは、工藤新一くん…？」


でも、どうやって子供の体に？

そもそも本当にこの子は新一くんなのだろうか？
それとも新一くんがこの子に話した…？
だとしても、あの事を話して巻き込まれでもしたら？
そう考えるとこんな小さな子を巻き込むだなんて考えづらいからこそ、他言したという仮説はすぐに消えた。


「本当のことを話してほしい。
１度背中を預けて戦ったからこそ、嘘はついて欲しくないよ…」


少年の口から手を離し、少年と同じ視線になるように両膝を地面に付ける。
もし、新一くんにも訳があるのだとしたら。
私と同じで、秘密を話さず大切な人を巻き込まないようにしているのなら、私はこれ以上は聞かない。

だけど話してくれたら力にもなりたいと思う。
あの時私を助けてくれたように、今度は私が…


「わーったよ。でも話すのは日を改めよう。」

「それじゃあやっぱりあなたは…」

「あぁお前が思ってる通りだ」


そっか。
やっぱり新一くんだったんだ。

安心した途端ポロッと涙が零れ落ちたがふふ、と笑みを浮かべてイスに座り直した。


「それより今の名前はなんて言うんですか？」


視線を下に向けながら問い掛けた途端、カフェの入口から“コナンくーん！”と呼ぶ女の子の声が聞こえた。
コナン…？ あ、もしかして…と新一くんを見ると“おー”と返事をしていたのでそうなのだろう。


「コナンくん、か。コナン・ドイルから取ったの？」

「あぁ咄嗟にな。新一宛で連絡くれれば返事するから。
その時にでも話すよ。またな！」


それだけを言ってコナンくんは女の子の方へ走って行った。
あとで連絡入れておこうかな。

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