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「立ち話もなんだから、お邪魔するね。」


 

「それは私のセリフだろう…。」


 
強引に入ってくる道真にしぶしぶ座布団を出すA。

 

「君の生得領域があの山そっくりだなんて、
後悔の念なのか、哀惜の念なのか。」

 

この"水明山"という山はAの生得領域であり、五条悟にしか開かれていなかったため、彼以外の人間がたどり着けるはずもない。


 

「お前はわざわざ私を怒らせに来たのか?」


 
口ではそう言っているが、怒っているような仕草は見せない。

 


「まさか!

私の子孫がずいぶんと世話になっているようで。
…まあ、今はどうだかしらないが。」


 

「…言いに来たことはそれか?」

 


Aは淹れたばかりのお茶をドンッ、と置いた。


 

「君が彼を拒絶してからかなり荒れているようでね。
加えて、抑えられる呪術師なんてそうそういないから誰もが手を焼いているんだ。


…ああ、別に僕は君のくだした判断を責めているわけではないよ?
ここに入り浸っていてはずっとぬるま湯につかっているようなものだからね。

呪術界の荒波にもまれてくれないと。




…でも、彼はいずれこの体制を変えようとするんじゃないかと思うんだよね。

君がかつてしようとしたように。」


 
探るような視線を道真はAに向ける。



「……。」


 

「…つまり、言いたいのは、
彼が二十歳になった時、力を預けてもいいと思えたら、惜しむことなく手を貸してやってほしいということだ。


そして、
腐りきった陰謀や裏切りが蔓延るこの世界にも、呪術師が命をかけてまで守るに値するものがあるということを、君に知ってほしい。



ここは澄んだ領域だが、寂しい。」

 


「私と人間がかかわるとろくなことがないということはよく知っているだろう。」


 

遠い昔のことを思い出して苦い顔をするA。


 

「…もちろん、忘れることなどないよ。

けれども、あの時代のように、自分の心を押し殺して上の命令に従うだけの呪術師ばかりではない。


広い世界を見るということは素晴らしいことだ。」


 

そして、道真は部屋の壁に飾ってある風景の写真に目を向ける。



「あながち、興味がないわけではないようだし?」


 

いたずらっぽく笑った。


 

「…考えておく。」



嵐のようにやってきて、嵐のように去っていった道真。
彼がいなくなった部屋で一人、深く考えるAだった。

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ダイフク(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます!オチについては明言出来ないのですが、楽しんで読んでいただけるかな、と思います…。更新頑張ります! (2022年3月6日 1時) (レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ダイフクさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。更新楽しみにしています。 (2022年2月25日 11時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - みきゃるさん» コメントありがとうございます!とても遅くなりましたが、これから少しずつ更新して行くのでよろしくお願いします! (2022年2月6日 1時) (レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
みきゃる(プロフ) - とても面白いです!!!ゆっくりでもいいので、続きが見たいなと思ってしまいました、、! (2021年12月12日 10時) (レス) id: 22cb947882 (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - 雪マカロンさん» コメントありがとうございます!早く高専生たちを登場させられるように更新頑張ります! (2021年3月4日 20時) (レス) id: 9e9c718d28 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ダイフク | 作成日時:2021年1月11日 15時

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