小娘 ページ23
『"魔虚羅"でも呼び出してみたらどうだ？
言葉がないと何もできないか。』
まだ十代の小娘に鼻で笑われた禪院は、いや禪院家の呪術師は皆、殺意を覚えた。
禪院は影に収納していた呪具を取り出す。
二本の刀を両手に持ち、強く地面を蹴る。
一歩で刀の当たる間合いにまで詰め寄って、素早く振る。
刀身が水明を斬り裂く、……ことはなかった。
勝利を確信している禪院の手に刀はなかった。
『力を持つ者は自らを過信し、現状を知る、相手を知る、ということをしない。』
背を向けていた禪院は今の一撃で仕留めきれていないことに驚き、振り返る。
そこで初めて己の手に何もないことに気づく。
と同時に、白い光が枷のように両手両足に巻きついた。
『一部の人間は私を"恥さらし"と言ったな？
上に立つ者が、地位を高めるだけ、弱者を痛めつけるだけに力を使う方がよほどの恥ではないだろうか。』
動けない禪院に一歩一歩、ゆっくりと近づく水明。
人差し指と中指を揃え、禪院の額に当てる。
『私の、勝ちだ。』
黒い笑みを浮かべた水明の顔が、禪院の意識がなくなる前に見た最後のものだった。
意識がないのを確認すると、『縛威』を解く。
拘束されていた体は力なく地面に仰向けに倒れる。
はっ！となにかを思い出した水明は審判に向かって制止の合図を送る。
せっせと仰向けに倒れた禪院の体を一旦起こし、膝が地面につくように体勢を変えた。
『うむ、膝はついたな。実に小気味良い光景だ。』
満足そうに頷き、審判に合図を送る。
そして、会場には神覚家当主、神覚水明の勝利を告げる大きな声が響いた。
二試合目、加茂家当主対菅原道真の戦いは道真の圧勝に終わった。
そして頂上決戦が始まる。
その試合の入りはなんとも静かなものだった。
開始を告げる声がかかっても、どちらとも動かない。
だが、会場の空気はその二人を中心にビリビリと震えている。
両者動くことなく、3分が経過した時、やっと動きを見せた。
同じタイミングで一歩を踏み出し、ゆっくりと近づいていく。
そしてその距離1mとなった時、ピタリと二人とも止まり、固い握手をした。
それをみていた観客、主に先ほど潰された禪院家と加茂家の人間は野次を飛ばす。
それを丸ごと押さえ込むかのように、水明、道真からとてつもなく大きな呪力が放出された。
それに抗い、言葉を発することができる者はいなかった。
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ダイフク(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます！オチについては明言出来ないのですが、楽しんで読んでいただけるかな、と思います…。更新頑張ります！ (2022年3月6日 1時) (
レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ダイフクさん初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張ってください。更新楽しみにしています。 (2022年2月25日 11時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - みきゃるさん» コメントありがとうございます！とても遅くなりましたが、これから少しずつ更新して行くのでよろしくお願いします！ (2022年2月6日 1時) (レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
みきゃる(プロフ) - とても面白いです！！！ゆっくりでもいいので、続きが見たいなと思ってしまいました、、！ (2021年12月12日 10時) (レス) id: 22cb947882 (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - 雪マカロンさん» コメントありがとうございます！早く高専生たちを登場させられるように更新頑張ります！ (2021年3月4日 20時) (レス) id: 9e9c718d28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ダイフク | 作成日時：2021年1月11日 15時
