快晴を翔ける (ページ6)

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天色ページ6

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「えっと、トリイくん」
「ん？」
「…で合ってるよね」
「……せやで、覚えてくれてなかったん」

しょん、と犬がぺたりと耳を伏せるように眉を八の字に下げた彼は私の歩幅に合わせて隣を歩いてくれていた。
彼は何も言わず私の手伝いに入った。このクラスの人は私が何か頼まれても見て見ぬふりで手伝われたことなんて無かったのに。

鷹宮サンのこと手伝いたかったんよ、ずっと。

不意に彼がそう呟き、彼の足が止まる。
振り返れば彼はどこか苦しそうに眉根を寄せ、いつも一人でやっとるやん、とぼそぼそ言葉を零す。手伝いたかった、なんて。嘘なら何度も言われたことがあったけれど、こんなにも真摯に私を見据えてくれている人が居たなんて。

「あ、りがとう…」
「…オリゴ糖！」
「……」
「え、スベったん？おれ、」

コネシマって奴が言っとったからウケると思ったんにー。
唇を尖らせてむくれる彼はコロコロと表情を変えて忙しない。けれどそんな変化や妙なあたたかさにボロボロだった心にじわりと熱が流されたようだった。

校則違反も良いところの顔も名前も覚えていなかった同級生が、こんなにも私を見ていてくれたことが、私自身を透かして見てくれたことが、嬉しくてしょうがなかった。

【天色(てんしょく)】
空の色。