【鬼滅の刃】蟲柱の妹は、妹だと名乗らない 肆

佰肆拾壱話〜カナヲside〜 ページ30

たまたまだった。




1日遅れで柱稽古に参加する事になって、音柱様の屋敷へと向かっている途中。




ーーAの姿を見かけた。





肩に鎹鴉をのせていた。




ただ、Aが纏う雰囲気の怖さが気になって。





怖くなって。




カナエ姉さんに続いてAまでいなくなるんじゃないかって。





死ぬ気じゃないかって。





そんな感じがした。









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・









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だから、気づいた時にはAの羽織を掴んでた。




どこにも行かないで、って。





その思いで。




最初のうちはなんとか離れてもらおうとAは抵抗してた。



でも根負けしたのかは分からないが、引き剥がさないでくれた。





それが嬉しかった。





でも、離したらいなくなる気がして。





「死ぬ気なの？」
「蝶屋敷に帰ってきて。」
「師範と手合わせしてるAが見たい。」






羽織を掴んでしまった言い訳はいくらでも浮かんだ。





でも、Aの声を聞いたら、言ってはいけないような気がした。




Aがしようとしてる事に。






鎹鴉と話していた事について。



中身までは聞こえなかったけど……。







だから、「稽古を一緒にしたい」って言葉しか出てこなかった。






絶対「ダメ」だって言われる。




事実、A自身も迷っているみたいだった。




でも、悩んだ末に「分かった」って言ってくれた。





言い方も態度も変わらずぶっきらぼう。






でも、何か変わった気がした。






前までは羽織を掴んだままだったらすぐに引き離そうとしたけど、今は違う。







私、Aの羽織を掴んでる。





Aもそれは分かってるはず。





それでも、何も言わないでいてくれる。




歩く速さだって、前の任務ではかなり差があったけど今は合わせてくれる。






待ってくれる。





でも、だからこそ気になる。





Aの目的が。




開いた口を閉じて、また開くを繰り返す。






心のままに生きる。






そう決めたのに、恐怖が勝って聞くに聞けない。






「(ーーーAは何をしようとしてるの？)」

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