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陸拾漆話〜カナヲside〜 ページ34

カナヲ「え……?」




「『貴方の師範は、貴方が死んだ時の保険として私を欲しがっているだけ』」。
今確かに、Aはそう言った。



聞き間違いなんかじゃない。







『………あれ?聞いてないの?』





目を丸くしたA。



てっきり私が師範から聞かされているものだと思っていたようだ。




でも、私はそんな事一言も聞いてない。
初耳だった。




『……まあ、あの人は自分に都合が悪い事はなんにも言わないから、聞かされてなくて当たり前か。』





違う。
そんな事ない。
師範は、そんな事言わない。






そう言いたいのに、Aの雰囲気が今までと変わって何も言えない。






『………あのさ、貴方が師範をどう思っていようが私には関係ないからどうだって良いんだけどさ。』






『今まで無関係だった貴方がどうして関わってくるわけ?迷惑なんだけど。』
カナヲ「………!」






溜息と共にそう言ったA。




確かに私達は、蝶屋敷にいた頃から殆ど話さなかった。






会話という会話をした覚えがない。





私が話さなかったからっていうのもあるけど。






Aはそんな私に対してなんの興味も示さなかった。





カナエ姉さんや師範にどれだけ一緒にいるようにいわれても。





稽古をするように言われても。





仲良くするよう言われても。







無表情だった。







お互い、無関心だった。







いつも1人でいた。









『……貴方さ、変わったね。』
カナヲ「え…?」
『前はどれだけ言われても口も開かないし話そうともしなかったのにさ。変わったね、ほんと。』
カナヲ「………。」





『さ、もう気は済んだでしょ?私これから任務だから帰って。』
カナヲ「ま、待って……!!」




部屋を出ていこうとするAの羽織りの裾を無意識に掴む。




『………なに?』
カナヲ「あ、………。」




咄嗟に掴んだはいいものの、何を言えばいいのか分からない。

















『いらない。』
























カナヲ「え」

















『……信じていた人に面と向かってそう言われてさ。』














『追い出されてさ。』




























『都合が悪くなったら「欲しい」だの「帰ってきて」だのほざきまくる。』



























『貴方が慕ってる師範は、そんな人だよ。』






そう言ったAの声は酷く冷たかった。

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エメラルドの飛沫(プロフ) - この夢主嫌いです。 (2021年4月21日 17時) (レス) id: fb58ba212d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - すごいアオルなー(・・;)とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年3月3日 8時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - 零華さん» はい!またリクエストお待ちしていますね!楽しんで頂けて何よりです!(^_^) (2020年3月2日 18時) (レス) id: 62cba94915 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - 抹茶タピオカ2号さん» 本当ですか、よかったです( ̄∇ ̄) (2020年3月2日 18時) (レス) id: 62cba94915 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - リクエストの方は、全然大丈夫でした。逆に、リクが通って、よかったです。これからも、更新、頑張ってください!応援しています!!。( `・∀・´)ノ ガンバレ--!。 (2020年3月2日 4時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魅夜 | 作成日時:2020年2月24日 20時

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