陸拾肆話 ページ31
『………入って。』
カナヲ「………。」←コクリと頷く
あの後距離を空けつつ3人まとめて産屋敷邸を出た。
もちろん空気は最悪。
一言も誰も何も発さず、ただ単にAの屋敷までの道を歩いて来ただけ。
その途中で蟲柱は任務に向かう為別行動となった。
Aとしては、蟲柱がいないだけでとても気持ちが軽くなるので、内心かなり嬉しかった。
・
『………この部屋よ。適当に座ってて。』
カナヲ「………。」←再びコクリと頷く
……少しくらい話せばいいのに。
Aより1歳歳上でありながら、確実にAよりも優遇されていた栗花落カナヲ。
Aはそんな彼女の事を恨みも妬みもせず、ただ単に「自分に害が無ければ何でもいい」と思っていた。
粗暴な子でも、無口な子でも、元気な子でも。
別にどうでもよかった。
そう。
自分に悪影響さえ無ければいいのだから。
『……はい。水で悪いけど。』
カナヲ「………。」
栗花落カナヲはしゃんと座って炎柱・煉獄杏寿郎の様子を伺っていた。
その様子を見て、Aは文机に向かう。
『(……呼吸数、呼吸の深さ、胸の音の左右差、喘鳴の有無、脈拍数、脈の左右差、脈の強さ、脈の律動、体温。あとは…。)』
そう。
今までの炎柱様の状態と比較して、異常がないかを見ているのだ。
几帳面というわけではないが、きっちりと記してあるため、異変が起きたらすぐ分かるようになっているのだ。
『(………顔色も悪くない。あ、水差さなきゃ。)』
炎柱の唇が乾いてきた事に気づき、使わなくなった布に水分を吸わせてそれを当てる。
『(……あと、傷口も見ないと。)』
まずは左目。
『(……傷口は開いてない。化膿…もしてないわね。出血もほとんど見られないし。熱感もなし。)』
続いて肩と胸部〜腹部にかけての大きな傷。
そして折れた肋骨、というように手際良く傷を見ていくA。
『(……このまま経過観察でいいわね。あと注意すべき所といえば……。)』
長期の眠りから覚めた時の筋力低下の予防か。
実際に経験してみてよく分かる。
自分が眠りから覚めない間、筋力も筋量も低下するのだと。
『(……さて。)』
切り損ねた長い髪を簪で結えたA。
栗花落カナヲはその間、Aの治療を黙って見ていた。
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エメラルドの飛沫(プロフ) - この夢主嫌いです。 (2021年4月21日 17時) (レス) id: fb58ba212d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - すごいアオルなー(・・;)とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年3月3日 8時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - 零華さん» はい!またリクエストお待ちしていますね!楽しんで頂けて何よりです!(^_^) (2020年3月2日 18時) (レス) id: 62cba94915 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - 抹茶タピオカ2号さん» 本当ですか、よかったです( ̄∇ ̄) (2020年3月2日 18時) (レス) id: 62cba94915 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - リクエストの方は、全然大丈夫でした。逆に、リクが通って、よかったです。これからも、更新、頑張ってください!応援しています!!。( `・∀・´)ノ ガンバレ--!。 (2020年3月2日 4時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魅夜 | 作成日時:2020年2月24日 20時