やっぱ坂田が居ないと*タヒネタ ページ20
雨が降りしきる中坂田が知らない女と相合傘をしながら楽しそうに笑いあって歩いている所を見た。見てしまった。
「あ、おーい!さか、、た、?」
そんな俺の声は雨の音に掻き消され坂田に届かなかった
彼らが歩いて行く方が俺の家がある方だが、反対方向へ走った
息が苦しくなって倒れそうになるまで沢山
ふと周りを見ればそこはホテル街だった
今の時間はあと少しで23時を回る頃
今から家に帰るには相当時間がかかるだろうと思いホテルで1泊することにした
朝目が覚めてからもあの光景は目に焼き付いていて俺の気分を底辺へと突き落とした
1番悲しかったのは坂田と相合傘をしていた女への嫉妬でも嫌悪でもなく、その光景が正しいのだと納得してしまったからだった
家に帰ってからもずっと頭の中に2人のことがいて
苦しくて苦しくて涙が止まらない
「さかた、幸せそ、だった、、な」
「あんな顔、、俺、知らなかった、よ」
そんな事を考えながらふと自分の腕を見ると真っ赤な線が数本入っていた
「あ、、」
少し強くするだけで溢れてくるそれはとても綺麗で
そこからもあいつの顔が浮かんできて更に切りつけたくなる衝動に駆られる
気付けば外は少し暗くなっていて自身の腕は真っ赤に染まり床には小さい赤い水溜まりが出来ていた
「手当てしないと」
ティッシュで拭いてから包帯でいっか
包帯を巻き終わるとインターフォンが2回鳴った
「どちら様ですか?」
相手に問いながら玄関を開けると
何故か俺は床に倒れていて
視界に映ったのはニヤリと笑って走り去っていく坂田の缶バッジを付けた女の子
腹に手を当てるとベッタリと真っ赤な血が着いた
次第に意識も無くなってきて
もう直ぐタヒぬんだなと意識させられる
呼んでも来ないって分かってるのに
呼んじゃいけないって分かってるのに
それでも助けて欲しいと小さな声であいつの名前を呼ぶ
「さぁ、たっ、、」
俺は意識を手放した
ふと体を揺さぶられる感覚がして目を開けるとそこには目を腫らした志麻くんとセンラが居た
俺が目を覚ましたことに気付いた二人は泣きながら抱きついてきた
坂田は?と聞けばそこと俺の左側を指差して
「医者からはもう目を覚まさないだろうって」
信号無視した車に轢かれたらしくて打ち所が悪かったらしい
ごめん1人にしてと言えば二人は病室を出て行ってくれた
体に繋がっている沢山のチューブを抜いて
窓を開けて俺は飛び降りた
「ごめん、やっぱり俺には坂田が必要だわ」
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作者名:さちゃまか | 作成日時:2020年1月12日 1時