君と俺 ページ30
.
キボムが購入したアクセサリーを受け取り、俺は今キボムが運転する車の助手席に乗っていた。
聞こえて来るのは流れている音楽だけで
俺達の間に会話はない。
俺は移り変わる景色をぼーっと眺める。
ポケットに入れていた携帯が不意に振動する。
画面を確認した俺は顔を歪めた。
また、だ…。
知らない番号。
どんなに着信拒否設定をしたところで、違う番号から何度も何度も電話がかかって来る。
夜中であろうが、早朝であろうが関係ない。
どういった経緯で俺の番号が漏れたのかは分からない。
番号を変えたところで、流した人物が誰かわからなければ同じことの繰り返しだ。
震える携帯の拒否ボタンを押した後に電源を落とすと、俺は小さく息を吐いた。
「…大丈夫…？」
耳に届いた声に隣を見ると、キボムが眉を下げてこっちを見つめていた。
どうやら知らない間に公園の駐車場に停まっていたらしい。
そんなことにも気づかないなんて…
俺が曖昧な笑顔を浮かべると、キボムがソレ…と言って、俺に持たせていたアクセサリーを指差した。
「Aに似合うと思って買ったんだけど、
開けてみてよ」
「…俺に？
ありがとう。でも、帰ってから見るよ」
「ダメ。せっかく買ったんだから今見て」
キボムの異様なまでの押しに負けた俺は、渋々小さな袋を開ける。
中から出てきたのは黒いクロスのピアス。
さすが、俺の好みがわかってる…。
何気なくピアスを眺めていた時に、黒と相反した色で書かれている小さな文字が目に入った。
「…？」
暗くてよく見えない……。
キボムに断りを入れて車内ライトをつけ、もう一度その文字へと視線を戻す。
「…っ」
書かれた文字を見てヒュッと息を飲んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1270人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あん(プロフ) - るーくすさん» るーくす様、コメント有難うございます^ ^ 主人公君のキャラは、徐々に変わって来てしまっているのではないかと危惧しているこの頃なのですが、気に入っていただけて良かったです^ ^ ゆっくり更新ではありますがのろのろと頑張りますので、よろしくお願いします。 (2019年1月17日 22時) (
レス) id: b38a5c814a (このIDを非表示/違反報告)
るーくす(プロフ) - 初めてコメントを書かせて頂きます！主人公のキャラにハマりました！！これからも頑張って下さい！！ (2019年1月16日 13時) (レス) id: 7349a2fd34 (このIDを非表示/違反報告)
あん(プロフ) - 結慈さん» コメントありがとうございます。素敵なお話と言っていただけて、とても嬉しいです。結慈さんが幸せな気持ちで読み終えることが出来たのであれば、私は嬉しいばかりです^ ^ いつもいつも暖かいお言葉を本当にありがとうございます。 (2018年10月2日 20時) (レス) id: b38a5c814a (このIDを非表示/違反報告)
あん(プロフ) - ゆうさん» ゆうさん、読んでいただきありがとうございます。私も、自分で書いておきながら涙が止まりませんでした。向こうが何の苦しみもない幸せな場所であることをただ願うばかりですね^ ^ 読んでいただき、ありがとうございました。 (2018年10月2日 20時) (レス) id: b38a5c814a (このIDを非表示/違反報告)
結慈(プロフ) - あんさん、、沢山悩んで、素敵なお話を書いていただいてありがとうございます！私は凄く幸せな気持ちで読み終えることが出来ました。これからも、彼があちらで幸せであるように、祈っていきたいと思いました！！ (2018年10月1日 23時) (レス) id: 9666c43da2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あん | 作成日時：2017年7月26日 4時
