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「ヌナ、カイさんだなんて他人行儀すぎるよ」
「最初が肝心でしょう?礼儀正しくていいじゃない」
不服そうに口を尖らせた彼が側までやってきた。
そこでテロップがだされる。
書かれていたのは、普段通りに、の文字。
あぁ、これはリアリティショーだからいつも通り接しろということなのか。
「ジョンイナ、私の夫でしょう?」
「え、あ、うん」
「これからよろしくね」
「お願いします」
急に普段通りの調子に戻すと面食らったようだったが、私の好きなそのはにかんだ笑顔で差し出した手を取ってくれた。
撮影を中断するとの声を聞くと、すかさず彼らが口々に話し始める。
「まさかナツミヌナだとは」
「同じ事務所でのウギョルっていうのも珍しいよね」
「うわー、少女時代のヌナ達と姉弟になるのか」
「チャニョラ、その言葉オンニ達に伝えとくからね」
私の言葉に全員が笑う中、ジョンイナと目が合った私はこっそりと微笑んだ。
メンバーと別れて別の部屋へと移動する。
用意された席に座って数台のカメラとスタッフに囲まれて見守られるこの状態はなんともやり辛いものがある。
「活動お疲れ様」
「ありがとう」
「ジョンイナと結婚なんて、なんだか変な感じ」
「えー、ヌナ俺でがっかりした?」
「全然。むしろ気楽で良かった」
「俺も人見知りだったから」
ヌナで良かったという言葉は飲み込んだ。
本音を言えば他の誰でもいいけど、ヌナだけは避けたかった。目の前で綺麗に微笑む彼女に対して自分の感情抜きに向き合うのはとても難しい。
第三者から見れば俺がヌナを好きなことは明らからしい。今後この番組を通してそれが視聴者にまで露わになってしまうのが怖い。
仮想だから、で押し通せるはずもない。
俺たちのペンは過激な人も多いから。
それで何かヌナに被害があったとしたら…
きっと俺は自分を一生許せなくなる。
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あん(プロフ) - リラさん» わぁ、リラさん!まさかこちらも読んでくださっていたなんて(O_O)感無量です!嬉しくて涙がちょちょぎれそうです(>_<) 頑張って更新しますので、こっちの方でもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月21日 20時) (レス) id: b38a5c814a (このIDを非表示/違反報告)
リラ(プロフ) - |ョ・ω・`)チラッ…こちらも楽しみに待っていたり… (2017年9月21日 18時) (レス) id: 71a684b419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あん | 作成日時:2015年12月26日 2時