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「ジョンイナ、痛い……っ」
「…ごめん」
掴んでいた腕を離したジョンインはうつむいていて、その表情は読み取れない。
スタジオから少し離れたこの場所はどこか薄暗くて、常設されている自動販売機の光が私たちを照らしていた。
「ありがとうね。私のこと、心配してくれたんでしょう?」
「…ヌナはお人好しだから断れないと思って。
あの時、応援するって言うのかと思った」
顔を上げて目があったジョンインは、その視線にどこか複雑さをにじませていた。
私はふっと息を吐くと、顔に笑みを浮かべる。
「応援なんて、出来るわけないよ。
ナウンちゃんには申し訳ないけど、私にとってはテミンの方が大切だもん。もちろん、ジョンイナもね。
いつだってテミンやジョンインの力になりたいって思ってる。それに、何よりもテミンの気持ちを尊重したいから」
テミンの気持ちを尊重したい。
私の本心であり、自分の気持ちを隠すための嘘でもある。表ではテミンのためと言いながら、本当は自分のためにも協力なんてしたくないという裏の心を隠すための嘘。
こんな薄っぺらい嘘なんて、きっとジョンインはお見通しなんだろう。その証拠に、目の前の彼の表情は先程から少したりとも変わっていない。険しい表情のまま。
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あん(プロフ) - リラさん» わぁ、リラさん!まさかこちらも読んでくださっていたなんて(O_O)感無量です!嬉しくて涙がちょちょぎれそうです(>_<) 頑張って更新しますので、こっちの方でもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月21日 20時) (レス) id: b38a5c814a (このIDを非表示/違反報告)
リラ(プロフ) - |ョ・ω・`)チラッ…こちらも楽しみに待っていたり… (2017年9月21日 18時) (レス) id: 71a684b419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あん | 作成日時:2015年12月26日 2時