31.side.Kai ページ33
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「ごめん、ジョンイナ。たくさん迷惑かけて」
なんでヌナが謝らなければならないのか。何故あんなにも叩かれなければならなかったのか。何故俺のペンからあんな仕打ちを受けなければいけなかったのか。俺の中で溜まっていた全ての疑問がグルグルと頭の中をめぐる。
あの時の1番の被害者は誰だった…?俺でも、場の異変に怯えていたナウンさんでも、助けに行ったテミンでもない。
怖くて、1番辛い目に遭ったのは他の誰でもないAヌナだ。
必死に抵抗しても無駄で、誰かに助けを求めて、やっとテミンに助けてもらって…あんなにも恐怖に怯え、震えて泣いていたのに。
なのに蓋を開けてみたらAヌナが1番叩かれている。まるで彼女がわざとそれをやったかのように。
そんな彼女が叩かれるのを俺は黙ってみていることしかできなかった。俺が何か彼女を擁護する言葉かけるのはさらに行為を助長する恐れがあったから。
あの時、あの場でも助けることが出来ずに、苦しんでいる今ですら助けてあげることが出来ない自分の無力さが歯がゆくて…それでも何か彼女の救いになればと俺は口を開いた。
「…何でヌナが謝るの?
そもそも悪いのはあの男じゃん。ヌナは悪くないよ。
それでヌナが周りからとやかく言われるのは可笑しい。
ヌナは堂々としてればいいんだよ、いつものAヌナらしく。それでも何か言われるときは、ヌナの夫として今度は俺がちゃんと守るから」
"ヌナの夫として"
この言葉は、ヌナには俺がいるって。ヌナの夫は俺で、俺はいつどんな時でもヌナの味方だってわかってもらうために付けた言葉。
そして
"今度は俺がちゃんと守るから"
これはテミンに負けたくない、俺の意思表示。きっとヌナにはわからないかもしれないけど、それでもちゃんと伝えておきたかった。
言ってしまった後に恥ずかしくなるのは仕方がないことで、俺は口元を隠して視線を逸らした。そんな俺をみて、ヌナは小さく笑った。
あぁ、
「やっと笑った」
「えっ…?」
「ずっと暗い顔してた。
やっぱりヌナは、そっちの方が似合ってる」
そう言った俺も、きっとヌナと同じ顔で笑ってるんだろう。
ねぇ、Aヌナ…
ヌナが笑顔だと、俺も笑顔になれるんだ。
それを守るためだったら、きっとなんだって出来る気がする。
だからヌナ…。テミンじゃなくて俺をみてよ……。
好きなんだ。初めてあった時から…
言えない言葉を飲み込んで、俺はもう一度彼女に笑いかけた。
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あん(プロフ) - リラさん» わぁ、リラさん!まさかこちらも読んでくださっていたなんて(O_O)感無量です!嬉しくて涙がちょちょぎれそうです(>_<) 頑張って更新しますので、こっちの方でもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月21日 20時) (レス) id: b38a5c814a (このIDを非表示/違反報告)
リラ(プロフ) - |ョ・ω・`)チラッ…こちらも楽しみに待っていたり… (2017年9月21日 18時) (レス) id: 71a684b419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あん | 作成日時:2015年12月26日 2時